仏法の視座から

軍事力、権力、富といったハードパワーに対し、知識、情報、文化、イデオロギー、システム、国際世論などのソフトパワーが力を増しつつある。

そのソフトパワーにいて仏教の立場から以下のように述べた論考がある。「潮」2014年2月号の佐藤優の寄稿より。

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人間同士の合意と納得による内発的なうながし、内発的なエネルギーを軸とするところに、ソフトパワーの大きな特徴がある。

仏法では、森羅万象ことごとく、互いに因となり、縁となって支え合い、関連しあっており、物事は単独で生ずるのではなく、そうした関係性の中で生じていく、と説く。
これが、縁りて起こるとういうことであり、個別性よりも、むしろ関係性を重視する。

真実の仏法にあって、その関係性の捉え方が際立ってダイナミックであり、総合的であり、内発的である。

このダイナミック、総合的、内発的な生命の発動は、、、、自他の生命が融合しつつ広がりゆく、小我から大我への自我の宇宙大の拡大を志向している。

正報、すなわち主観世界と、依報、すなわち客観世界が二元的に対立しているのではなく、相即不離の関係にあるとするのが、仏法の基本的な生命観、宇宙観である。
と同時に、その相即の仕方は、客体化された二つの世界が一体となるといっスタティック(静的)なものではない。依報である森羅万象も正報という内発的な生命の発動を離れてありえないという極めてダイナミックかつ実践的色彩が強いものである。

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以上は、創価学会池田大作氏が、1991年に米国のハーバード大学で講演した内容の抜粋であるが、感じるところが多い。