東浩紀「弱いつながり--検索キーワードを探す旅」

東浩紀「弱いつながり--検索キーワードを探す旅」(幻冬舎)を読了。

ネットは強い絆をさらに強くしていくメディアであり、ネットは階級を固定する。そこから逃れるために旅をしよう。新しい検索ワードを探すそう。ネットを離れる旅ではなく、よりより深くネットに潜るために旅に出よう。

以上がこの本の主旨である。
逆説的だが、正しい。新しい体験に身をさらすことが大事ということだ。

弱いつながり 検索ワードを探す旅

弱いつながり 検索ワードを探す旅

  • 日本語だけで検索するのをやめて、アルファベットで検索することが重要。
  • 経験や知識よりも、顧客の要望に応じて検索する能力が重要。
  • 歴史認識を共有できないという認識の共有
  • 弱い絆は偶然性の世界。偶然に身を委ねよう。それで情報の固定化を乗り越えられる。

グーグルの登場以降、私たちを取り巻く知的環境は、個人個人にカスタマイズされてしまった。
自分の知識、欲望、友人などは、、グーグルからの情報提供によって、自分と思われるものを知らないうちにより強化していく。だから自分を取り巻く世界はむしろ狭くなっていく。
新しい驚きからしだいに遠ざかっていくことは危機である。思いつく検索キーワードはマンネリになっていく。必然の世界に深化である。強い絆の世界だ。
これを突破していくには、新しい体験が必要だ。偶然を大事にすることが自分らしく生きることにつながる。弱い絆で自らを囲む。そして旅に出ることだ。
もともと旅の効用と言われていた「五感をフル動員した驚きと発見と自己認識」は、今も、いや今だからこそ有効ということだろう。グーグルとソーシャルネットワークからの逃亡、主体性の回復がこの本のテーマだ。