中村修二「考える力、やり抜く力 私の方法」-一独学のすすめ

中村修二「考える力、やり抜く力  私の方法」(三笠書房)を読了。

2000年あたりに書かれた本の緊急再出版。
冒頭の「ノーベル賞に最も近い男」というマスコミ評、最後は「ノーベル賞は通過点」という記述。そして2014年に本当に受賞。

この人の魅力は、「独学」という点だ。独力で学び、自分の頭で考え、試行錯誤して問題を解いていく。この姿勢に学ぶべきである。地方の小さな企業の片隅で努力し、それでノーベル賞もとれることを示したのが素晴らしい。
他の人たちのことを勉強することはむしろ害が大きいと私も思う。自分で考えることこそが大事なことなのだ。

考える力、やり抜く力 私の方法

考える力、やり抜く力 私の方法

  • 一点突破、全面展開、宇宙遊泳
  • 自由を求めてアメリカへ行く。
  • すべてを自分でやる
  • 自分にとってわかりやうし方法で物事を理解していけばいい。自分なりの方法で理解する。これが自分流。
  • 自分でやればさまざまな創意・工夫が生まれてくる。
  • 人真似を避けて、実験結果を深く考え抜き、自分のノウハウが詰まった装置を駆使することで、独創力を発揮できた。
  • 他人の論文や参考文献は一切読まない。自分の実験結果だけから考えて研究を進めようと決意した。
  • やりとげること、完成させることが大切。小さなことでも、人の目にとまるからだ。
  • 百の未完成品よりも、一つの完成品をつくる。
  • 実験結果を深く深く考えることこれがものを理解する道具だ。
  • 幸いなことに私には常識などというものがなかった。
  • 自分で器具や装置を作り、自分だけのやり方を編み出していく。それが創造への第一歩。
  • 自分でものを作らないから人生がつまらなくなる。
  • 物を作る、という仕事は人間だけに与えられた特権だ。
  • コンチクショー精神
  • 自分の流儀は、あることを徹底的に最後までやり遂げるところから生まれてくる。
  • 井戸は水が出るまで掘れ。

独力で独学で目の仕事に挑戦してきた私には共感する言葉が多い。
また一人で「図解コミュニケーション」という分野を切り拓いている私と同じやり方だと確認できた。2005年に「勉強してはいけない!」という本を出したことがある。その主張と中村修二さんの軌跡は同じだ。

「たまたま偶然」の連続の仕事人生と中村さんは言う。自分の目と頭を信じ、強い心で、偶然に置かれた場所で、問題を解こうということだ。右顧左眄する必要はない。自分の仕事に迷いなく取り組もうという精神こそが大事なことなのだ。
日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹博士の「アイデアの秘訣は執念である」という言葉にも納得する。