李御寧「縮み志向の日本人」(講談社学術文庫)を久しぶりに再読。
1982年位刊行されたこの本の原本は、あまたある日本人論の中の最高傑作と言われた名著だ。
「知的生産の技術」研究会で、著者が情熱を込めて語った姿をいまでも覚えている。
そのメッセージは、「日本人よ。鬼になるな、一寸法師になれ!」というものだった。
- 作者: 李御寧
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/11
- メディア: 文庫
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図解はまさに究極の要約であり縮み志向の極致だ。マンダラは限界まで世界を縮めた世界観ともいえる。
縮み志向で具象的な「内」なる世界に生きている時に日本は繁栄し、拡がり志向となって自信過剰で抽象的な「外」なる世界に乗り出していった時に日本は壊滅する。
「縮むから拡がる」というパラドックスからいかにして逃れるか。
極小主義から巨大主義への転換の時に、日本人の繊細さが残忍さに変わる。いつも第一の犠牲者になったのが朝鮮半島だ。この本はその犠牲とならぬよう韓国から日本人に向けての渾身のメッセージだ。
刀でもソロバンでもない、琴のような楽器、万人に共感を与える生命の響き。それが真の文化が持つ力だ。と述べて、最後に李御寧は言う。
「鬼になるな、一寸法師になれ! 船を焼いて琴を作れ! 海よりももっと深くm海よりももっと広い生命の空間に響く、枯野の琴の音を、、、。」