映画「グレース・オブ・モナコ」

映画「グレース・オブ・モナコ」を楽しんだ。
伝説の王妃グレース・ケリーは1929年生れ。「喝采」でアカデミー賞を受賞した翌年、モナコのレーニエ公と結婚。1981年来日。1982年自動車事故で52歳で死去。
モナコ公国は、700年以上続く立憲君主国。バチカンに次ぐ世界第二の小国。国土は日本の皇居の2倍の2平方キロ。人口は3万6千人。
モナコ公国存亡の危機を救うための生涯一の難役に挑んだプリンセスの感動の物語。敵役のド・ゴールフランス大統領、ヒッチコック監督、親友のマリア・カラスなどが登場する。
大女優・ニコール・キッドマングレース・ケリーを上手に演じている。
グレース・ケリー公妃ダンスアカデミーは、森下洋子を輩出。1994年にはグレースの遺志を引き継ぎ、モナコに日本庭園「雅園」(Grace Garden)が完成している。

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 (竹書房文庫)

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 (竹書房文庫)

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太田昌克「日米(核)同盟--原爆、核の傘、フクシマ」(岩波新書)を読了。
日米核同盟の実態を深堀りしたノンフィクション。
核の傘(軍事)と原子力の平和利用(経済)という表と裏を持つ日米同盟は、実は「核の同盟」であることがよくわかる本だ。

  • 日本の軽水炉原発(普通水)はウラン燃料を使って発電する。使用済み核燃料である燃え残った「ウラン235」と臨界反応で生じた「プルトニウム239」を「再処理工場」で回収する。抽出されたウランプルトニウムは「混合酸化物(MOX燃料)」にして軽水炉で再利用する。この発電のやり方を「プルサーマル」と呼ぶ。(プルトニウムのプルとサーマルニュートロン・リアクター(熱中性子炉)のサーマルを繋げた和製英語
  • 将来的には軽水炉ではなく、「高速増殖炉」を実用化し、燃やした以上のプルトニウムを増殖させる目標がある。(夢のエネルギーへ)
  • 使用済み核燃料の再処理事業は国が青写真を描き、民が従う形で進められてきた。(国策民営の構図)
  • 青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場(1993年着工、2014年未完成)に日本原燃が投じた建設費は2兆円以上。このつけは「総括原価方式」で電気料金として国民負担。再処理工場の閉鎖・廃止には19兆円のコストがかかる。(官民とも、やめると言いだせない構図)
  • 再処理で抽出したプルトニウムは45トン。核爆弾5000発以上をつくれる。国内9トン、英仏に半分づつ保管中。(短期間で日本は核武装可能)
  • 米国は日本に特別に再処理を認めている。これは特権である。インドは平和利用を隠れ蓑として核開発を行った。(日本にも疑いの目が注がれている。)
  • プルトニウムを抽出する民生用再処理技術と商業用のウラン濃縮技術は、核兵器開発とコインの裏表の関係にある。(IAEAの予算の3割は日本の監視)
  • 日本では、東芝は米国ウェスティングハウスを買収、三菱重工は仏ノアレバ、日立製作所は米GEと提携関係にある。日本製鋼所室蘭製作所の原子炉圧力容器は高い競争力を持つ。(世界の原子力産業の中核は日本)
  • 日米同盟は「核」というきびきにつながれた「核の同盟」である。(ヒロシマナガサキ・フクシマ。アメリカの核の傘原子力平和利用。)
  • 2018年7月に日米原子力協定は有効期限を迎える。(アメリカ新大統領)