池波正太郎「日曜日の万年筆」(新潮文庫)から。

ここ数年、年末は故郷の中津に帰って母と一緒に過ごし、年始は東京の自宅にいるというのが、年末年始のスケジュ−ルだった。
今年は弟が年末年始を含む長い滞在をしてくれることになったので、ずっと自宅にいる。
このため久しぶりに書斎の本や書類、電子機器などを抜本的に整理することができつつある。
本当に必要なものはごく少ないことが改めて確認できた。
くり返し読みたい大事な本、リファレンス本、読むべき全集、そして取り組むべき資料としての本などがあればいい。
ライブなものを書斎に置き、保管、保存すべきものは研究室に置く。そして保存の必要のないものは淡々と廃棄する。
いずれにしても、立ち止まって何が必要か、何をすべきかを考えるよい機会になった。

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池波正太郎「日曜日の万年筆」(新潮文庫)を読了。

日曜日の万年筆

日曜日の万年筆

怒涛の仕事量をこなした稀代の仕事師である池波正太郎の日常生活と心がけを知ることができる本。

  • 行楽の季節に自分の楽しみで旅行はしない。6月の梅雨どきか、12月に旅行する。5日か、一週間で仕事をすっかり忘れてしまう。日曜日は平日よりも忙しい。
  • まず書いてやめてしまう。寝てしまう。別の仕事をする。そうすると何をしても内容が頭の中で膨らんでくる。
  • 夕飯までの1時間が大事。少しでも書いておけば、夜半からの仕事が気分的にずっと楽になる。夕食では酒を二合飲むので眠くなる。1時間半か2時間。目覚めてから少し書いておく。夜は11時に入浴。蕎麦などの夜食を食べてテレビをみたり調べもの。本格的に机に向かうのは午前1時頃。2時間を集中して書く。10枚ほど。日中から夕方の分を含めて15枚書ければ上等。それからウイスキーを飲みながら水彩画を描いたり、書斎のベッドで本を読んだり、眠ったりする。
  • 小説を書く仕事をしていると、適度の酒がなくてはストレスも疲れもとれない。夕食は二合のサ酒か、ウイスキーオンザロックの2、3杯。
  • 「男の小遣いに余裕がなくなれば当然、その国の余裕も消える。、、その余裕が、世の中にうるおいをあたえていたのである。
  • 3年連続日記。日記には、日々、食べたものだけを書いておく。
  • 年末の大掃除と大整理で、書斎が、いくらかでも清らかになっている。
  • 生活の単純化、簡潔な暮らしを自分に強要していこう。生涯を終えるまで自分のするべきことはほとんど決まってしまった。そのことがむしろ私を落ちつかせてくれる。
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今日の収穫

  • 自分で行った貴重な省察は、できるだけ早く書きとめておくべきである。(ショーペンハウエル
  • 書物を買い求めるのは結構なことであろう。ただしついでにそれを読む時間も、買い求めることができればである。(ショーペンハウエル
  • 働きのよろこびは、自分でよく考え、実際に経験することからしか生まれない。(ヒルティ)
  • 負いかた一つで重荷も軽い。(フィールディング)
  • 世の中のいざこざの因(もと)になるのは、奸計や悪意よりも、むしろ誤解や怠慢だね、(ゲーテ
  • 世の中は粥で造られてはいない、君等は怠けてぐづぐづするな。かたいものは噛まねばならない。喉がつまるか消化するか、二つに一つだ。(ゲーテ
  • 政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、かたい板に力をこめてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業である。(ヴェーバー
  • 生まれてから死ぬまで、人間ってものは、醒めているかぎり、たえず何らかの教育を受けているわけだよ。そしてその教育の中でも一番は、いわゆる人間関係って奴だな。(マーク・トウェイン
  • 約束を守る最上の手段は決して約束をしないことである。(ナポレオン)
  • 作戦計画を立てることは誰にでもできる。しかし戦争をすることのできる者は少ない。(ナポレオン)