森村誠一「祈りの証明--3・11の奇跡」--夫焼く荼毘の炎で暖をとる

森村誠一「祈りの証明--3・11の奇跡」(角川書店)を読了。
野生時代」の2012年4月から2013年4月号まで掲載された連載を加筆・修正した書物
社会派推理小説の大家となった森村誠一東日本大震災の1年後から描き始めた渾身の作品だ。

戦場カメラマンの中年男性を主人公に、その青春と3・11以降の日々をだぶらせながら描いている。
大震災、被災地の人々、原発という凶敵、電力企業を中心とする体制、被災地巡礼、新興宗教の跋扈、権力と宗教の癒着、などの道具立てで日本の今を描く鎮魂の力作。
森村が手掛けている、写真と俳句を合わせた「写俳」を効果的に使って、現代の問題を描く手法はさすがである。

非情、鬼、生存と生活、救済、原爆と同根の原発、飼いならせない猛獣、制御不能の化けもの、原発ジプシー、悲話と美談、改易流行が実態のマスメディア、人間性が濃縮する天災と希薄になる戦場、避難所巡礼、尊い臭気、行脚僧、ヘドロの海に向かっての読経、号泣作戦。指導力と復興に向ける姿勢。祈りは他人そして自分に捧げる、孤独死より自殺力、グリーフケア、人生の縮図、災害文化、、、。

  • 社会への始発駅には人生の全方位に向かう列車が勢揃いして、新卒の乗客たちを待っている。終着駅は楽園か、極地か、永久凍土か、不明である。全方位に向かい分かれる人生列車には同時に無限の可能性がつまっている。青春とは未知数の多いことである。
  • 無限の可能性に満ちている行先不明列車の乗車券を放棄するには野心が強すぎた、、、。
  • 最先端を追う職業は、最先端にいることが安心立命である。

夫焼く荼毘の炎で暖をとる
救出の順位選びて我は鬼
寒昴たれも誰かのただひとり
火の海に漂流しつつ生きており
敗れざる鉄の遺骨や供花まみれ
生き残り松の命に雪が舞う
炎天下原発無用の座禅僧
被災地をまっすぐ照らす月明かり
七夕やママが欲しいと被災孤児

写欲。写材。写俳。画俳。句会。句境。、、、。

              • -

大阪朝日放送で3月26日放映の「ビーバップ!ハイヒール」の昭和のスター編のビデオが届いたので自宅でみる
二度目の出演なのでリラックス感あり。

                              • -

今日の収穫

  • 短所あるを喜び、長所無きを悲しむ(似鳥昭雄)
                                    • -

「名言の暦」

没。

  • 五味康祐:直感は誤らない。誤るのは判断だ。

誕。

  • 大関・大の里:とにかく朝早く稽古場に出ろ。人に負けない時間に出ろ。出さえすればあとはどうにかなる。
  • 木村尚三郎:思い立つ日が吉日。
  • 飯田亮:自分で自分の太鼓を鳴らさなきゃ。
  • 若松孝二:映画に文法はない。どうつくるのも自由だ。ただ一つ、権力の側からは描かないこと。
  • 三船敏郎:私は日本と日本人のためにこれからも正しい日本人が描かれるようにだんこ戦っていく。
                                                                      • -

訃報(本日4月1日)

  • 世界最高齢・大川ミサヲ117歳。
  • 元駐米大使・栗山尚一83歳。
  • ラー麺の神様・山岸一雄80歳。
  • 古典芸能評論家・小山観翁85歳。
                        • -

本日より「戦後70年プロジェクト」に着手。

                          • -