寺島実郎「新・観光立国論」--移動と交流という思想

寺島実郎「新・観光立国論」(NHK出版)を読了。

新・観光立国論―モノづくり国家を超えて

新・観光立国論―モノづくり国家を超えて

人口減と高齢化へ向けて異次元のように進行する日本は、モノづくり国家を超えてサービス産業の高度化を図らねばならない。その中核は観光産業の隆盛である。これがこの本の主旨である。
資料編の充実も特徴である。この本は「観光」を巡る発想のヒント集でもある。

ここでは、世界と日本を巡る事実や数字ではなく、観光を「思想」としてとらえるキーワードをを抜き出してみたい。

  • 移動と交流という思想。人類は移動によって進化してきた。グレートジャーニー。適者生存。移動は人間を賢くする。刺激を受けて知恵がついていく。移動と交流によって自分を磨き、眼を開き、世界観を進化させる。移動は消費を促す。
  • 創造的観光。変化とドイドキ感。聖地巡礼。宗教的寛容さ。古今東西の文化の混合。安全と治安。クールジャパン。歴史意識を広げる旅。インダストリアルツーリズム。幸福探究ツーリズム。創造的な物語。体系。
  • 4つの課題:国際収支の天井(脱工業化社会。リーディング産業。食とエネルギーの外部依存の低下。工業生産力モデルの限界。日本の貧困(中間層の没落。行動と学びの欠如。)、異次元の少子高齢化の進行(人口減少化のビジネスモデル。コンパクト・ネットワーク。)
  • グローバル化の中で移動と交流によってネットワークを形成し豊かになっていく。移動は活力をもたらし、人間を賢くする。進化の鍵は驚きを覚える力。気づき。二地域居住。非日常生活の体験と追及。解放感の中で驚きの発見による進化。驚きとはつながりを理解する知性。歴史と空間と物事のつながり。時間軸と空間軸。相関関係と相互依存関係。外は広く、内は広い。
  • 立体的な相関。ダイナミックで立体的なクラスター。統合と総合。ビッグデータ時代。サービス・エンターテイメント産業。異なる地域を結び、歴史を掘り下げていく。付加価値。
  • 移動と交流という思想(移動と交流は人間を賢くし活力をもたらす)。驚きを覚える力。旅の遺伝子。移動と交流(観光)による経済の活性化。二地域居住などの多様なライフスタイル。観光と定住の中間形態。
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安保法制、衆議院強行採決

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名言の暦   7月15日

命日

  • 黒田清輝1924:始終骨なし人形ばかり描いていて、いつまでも美術国だといっていられるか。
  • 川端龍子1966:
  • 五十嵐健治1972:人が嫌がる仕事であれば、競争する相手も少なく成功しやすいのではないかと考え、明治39年3月、洗濯屋を始めることにしました。
  • 桑原武夫1988:汚い金をきれいに使うのが文化ちゅうもんや。
  • 色川武大1989:幹線道路を行くようなコースで競争したってしょうがない。自分だけの生き方を作らないとしょうがないだろう。
  • 扇谷正造1992:名刺で仕事をするな。

生誕

  • 永野重雄1900:私の悪口はすぐに報告しなさい。しかし、言った人の名は言わないでください。
  • 深田祐介1931: