寺島学長「2015年秋の日本と世界エネルギー地政学の変化」

リレー講座。
本日の講師は寺島学長「2015年秋の日本と世界エネルギー地政学の変化」。
社会人410名(過去最高)、学生150名。総数560名。

  • 秋学期のリレー講座の概要説明。
    • 12回:寺島4回、他の講師:高橋和夫。バートル。渡部恒雄姜尚中久恒啓一。真壁昭夫。田中康夫佐高信
    • どこに立っているのか。どこに向かっているのか。時代認識。
    • 副読本:ノートをつけよ。BS11。新潮文庫「20世紀と格闘した先人たち」。そして自分のプラットフォームをつくれ。
    • 7月サンフランシスコ:戦後70年「どうして戦争になったのか」。100年前がターニングポイント。1915年のパナマパシフィック博。
    • 8月ミュンヘンの中東協力会議。ロンドン。ウイーン。第一次世界大戦100年イベント。1000万人が死亡。
    • 100年前の「運命の5年間」。1914年から1919年。戦後70年の意味を考えるとき不可欠の5年間。
      • 1914年:日本は第一世界大戦(1918まで)に参戦。日英同盟を根拠とした集団的自衛権の行使。ドイツ権益の中国・青島、南洋諸島サイパン・トラック・ヤプー)。
      • 1915年:対華21ヶ条の要求。むき出しの帝国主義。大隈首相・加藤高明外相。
      • 1917年:ロシア革命。日本はシベリア出兵。
      • 1919年:ベルサイユ講和会議。西園寺公望全権。一等国。
      • 第一次大戦の結果、4つの帝国が崩壊。ドイツ帝国。オーストリア=ハンガリー二重帝国。オスマントルコ。ロシア。
      • 日本は遅れて来た帝国として参戦。世界の流れが読めなかった。中国への劣等感が反転し、優越感を持つようになった。
      • 世代の問題:1915年は幕末明治に戦った世代は50年経っていなくなっていた。2015年は戦後70年で戦争を知らない世代がほとんどになった。1925年の神戸での孫文の演説「西洋列強の番犬となるか、東洋王道の干城となるか」。親亜から侵亜へ。
    • 現在の日本の迷走:優越感が猜疑心と不安に反転。日本人は物量でアメリカに負けたと思っているが、本当は日米の連携に負けた。戦後は経済で勝負、モノ作り国家を誇りにした。しかし、経済指標のGDPは2010年に中国に抜かれ、2014年に中国は2倍、2017年には3倍になる。一人当たりGDPもアジア4位に転落、世界27位。
    • 日本は日米同盟で中国と戦おうという世界観。実は米中のパイプの方が太い。アメリカにとっては中国も日本も大事。
    • モノの移動:日本の輸出入で中国は20.5%となり中国は日本経済にビルトインされてしまった。
    • ヒトの移動:アジア、大中華、中国からのインバウンドが急激に増加。
    • アジアのGDP:1820年(中国37%・インド16%)。2015年にアジアのGDPは世界の2割から3割に達しようという段階。2040年には5割になる。
    • 100年前は中国への劣等感が優越感に反転する時期。現在は優越感が不安とためらいに変化。米中のコミュニケーションは太い周近平の訪米でノーイングから300機購入、)尖閣についてアメリカは「施政権は日本。領有権には関与しない。同盟責任は果たす」という立場。3000人の陸海両用の自衛隊の訓練、これはアメリカ海兵隊より先に日本の海兵隊が戦うということだ。
    • 常任理事国入りの願望。誰が支持するのか。アメリカの票が一票増えるだけ。日本はアメリカ周辺国という見方。
    • アジアをどうリードしていくか、を語れなければリーダーにはなれない。