寺島実郎「二十世紀と格闘した先人たち」(新潮文庫)

寺島実郎「二十世紀と格闘した先人たち--1900年 アジア・アメリカの興隆」(新潮文庫)を読了。

寺島さんは「世界」で「17世紀オランダからの視界」を連載中だ。その意図は「近代」なるものへの接近である。
この本は、「20世紀とは何か」を考え抜くことによって、「戦後日本」を考察した本となる。
フォーサイト」に連載し、単行本と選書版になった「二十世紀から何を学ぶか(下)」の文庫本である。

クラーク博士。ヘンリー・ルース。フランクリン・ルーズベルトマッカーサー
新渡戸稲造内村鑑三鈴木大拙津田梅子野口英世高峰譲吉。朝河貫一。松本健次郎。大島浩
岡倉天心。ガンディー。チャンドラ・ボース。パル判事。孫文魯迅周恩来

これらの人々が時代と、そして自分自身と格闘した姿を追った内容は圧巻である。
長い時間と、広い空間と、そして膨大な量の資料の蓄積と読み込みが、読者を圧倒する。
いつものことだが、一行一行に込められた情報の圧縮度に感心させられた。

我々の生きている「戦後」を二十世紀100年の中で相対化して考えるという作業であり、この戦後はアメリカの圧倒的影響を受けて来たことが鮮明になっている。アメリカの世紀が静かに終わりつつあるこの時期には、アメリカを相対化することが必要である。

二十一世紀の日本の外交は、アメリカとの長期的同盟関係しを重視しアメリカをアジアから孤立させない役割を担いながら、一方で中国を国際社会のルール作りへの責任ある参画者に招き入れる役割を果たすことだというのが、著者の「親米入亜」のメッセージである。

実に重い本である。

  • 17時半:橘川さんと九段で打ちあわせ。
    • 出版会の件。
    • 観光公社の件。
    • 大企業とベンチャーのマッチング。
  • 19時:九段サテライト。

多摩大・図解アルチザンの出版プロジェクトメンバーの会議。

    • 電子書籍の出版プロジェクトを再開。12月18日にリリース予定。


  • 20時:蕎麦屋でアルチザンのメンバーと懇親会。

「名言の暦」10月6日
命日

  • 細川幽斎1610:物の成る人 朝起きや身を働かせ小食に忠孝ありて灸をたやさず。物の成らぬ人 夜遊びや朝寝昼寝に遊山好き引込み思案油断不根気。
  • テニスン1892:今の私は、これまでに出会ったものすべての賜物である。
  • 尾崎行雄:人生の本舞台は常に将来にあり。
  • 伊藤肇1980:性格がその人の運命である。

生誕