森嶋通夫の世界

森嶋通夫「なぜ日本は『成功』したか?」(TBSブリタニカ)を読了。
1984年初版。
世界的経済学者が書いた日本史の通史。

  • 道教神道となった。
  • 孔子は仁者になることを目的とした。徳治主義。道徳で導き礼で統制。忠は良心に対する誠実さ。中国王朝の原型は、儒教イデオロギーとする律令政治国家。
  • 日本人は忠を最重要とした。主君に対し尽くすこと。
  • 天皇が君主だったのは全期間の三分の一。三分の二は二重、三重の政府の時代。天皇政府と将軍政府。異質の政府の存在。武治儒教国家。
  • 皇室は神道、政府は儒教、庶民は仏教。3つの倫理体系の伸縮的な組みわせが日本の発展に寄与した。
  • 聖徳太子は中国文化を前にして日本精神の台木の上に中国の能力を接ぎ木しようとした。開化啓蒙。天皇制・民主主義・官僚制を提案。大化の改新聖徳太子の政治理論に基礎づけられた貴族革命。思想家聖徳太子と革命家中大兄皇子の合作。日本は法治国家の道を歩む。
  • 頼朝、信長、家康時代は、二重政府。徳川政府は武器輸入競争に勝つために鎖国する。鎖国中に全国民が儒教的な思考訓練を受けた。天皇に対する忠と将軍に対する忠の矛盾。
  • 西欧列強の圧力によって青写真の無いエリート革命、明治維新が行われ、近代統一国家をつくり始める。
  • 儒教イデオロギーとする日本資本主義。1878年明治維新から1945年の敗戦までの77年間に10の大きな戦争を30年間にわたって戦っている。民間企業は政府の行政指導に服した。ホワイトカラーは新しい武士である。終身雇用、企業内訓練、年功序列、長期競争、中小企業との賃金格差、同志的雰囲気、、、。儒教資本主義。準戦時下、戦時中に終身雇用と年功序列制を日本柱とする日本式雇用制度が普及した。
  • 1886年から1945年までの60年間に、半分の30年間戦争を行った。統制経済になっていた。
  • 弱い間は開国、強くなると攘夷。精神的には儒教国家主義、政治的には立憲君主国、経済的には資本主義、外交的には協調路線、という明治体制。第一次大戦終了時点では、明治体制は円滑に回転しなくなった。軍縮による挫折感は軍部の暴走へつながった。シベリア出兵、満州事変、5・15事件、2・26事件、日中戦争、、、。
  • マッカーサー改革は朝鮮戦争によってUターンする。この神風によって日本経済は復興し、戦前と同性格のものになった。自由陣営のアジアの大工場になっていく。国家の役にたつとは戦争の遂行に役に立つということで、工学偏重・理学軽視の理科教育が続いた。日本株式会社は優秀な人材を戦略産業に集中していく。戦後経済は民主主義的計画経済になった。接ぎ木に成功した。
  • 和魂洋才の和魂の中心は神国思想。神国思想の占めていた場所は真空状態。不吉な方向に発展する可能性は残る。日本精神を充てんした西欧並みの強国は大きな脅威となる。
                                    • -

森嶋通夫「学校・学歴・人生」(岩波ジュニア新書)を読了。
1985年初版。

  • 私は職業生活において思い切り活躍できたかどうか(全力を発揮できたかどうか)で、人生の成功、不成功を判定します。
  • 頭は重要なエレメントではなく、それ以上に、情熱家であり、努力家であり、勇敢であり、積極的に意志を通す力をもっていなければなりません。そしてここぞと思う、人生の天王山で、獅子奮迅の働きができる体力が必要です。
                                      • -

森嶋通夫「なぜ日本は没落するか」(岩波現代文庫
http://d.hatena.ne.jp/k-hisatune/20150826

「名言の暦」10月12日
命日

  • ヒルティ1909:働きのよろこびは、自分でよく考え、実際に経験することからしか生まれない。
  • 浅沼稲次郎1960:
  • 三浦綾子1999:秀れた人間というのは、他の人間が、愚かには見えぬ人間のことだろう。
  • 黒川紀章2007:私自身は哲学者だと考えています。建築と哲学は別物と感じる人がいるかもしれません。しかし、哲学なくして建築などできるわけがありません。

生誕

  • 近衛文麿1891:
  • 三浦雄一郎1932
    • ザ・ファースト・イズ・フォー・エバー。
    • 老いは怖くない。目標を失うのが怖いのだ。
    • あなたのエベレストを探しましょう。