池井戸潤「下町ロケット2--ガウディ計画」(小学館)を読了。
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/11/05
- メディア: 単行本
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今作はその続編で、やはりそのバルブがうまく作動しなければ、心臓弁膜症の患者を救えないというキーテクノロジーを巡る物語で、医療界、学界、産業界の内部の闇を描く。今回も最終的には、下町の中小企業が勝利するという筋書きだ。
仕事は人間ドラマであることにやはり感動する人が多いことだろう。
- 長く苦しい開発をしているとき、その問いの答えさえわかっていれば、迷うことはない。そして、その答えは単純明快なほうがいい。
- 人が人生の一部を削ってやる以上、そこに何かの意味が欲しい、、、
- あるところまで行くと理屈では解き明かせないものが残る。そうなったらもう、徹底的に試作品を積み上げるしかない。作って試して、また作る。失敗し続けるかも知れない。だけど、独自のノウハウっていうのはそうした努力からしか生まれないんだ。
- 自分たちの仕事が果たして何であるか。どこに向かっているのか。誰のために努力しているのか。
- 会社は小さいが、夢はでかい。それでこそ----人生だ。自分のやりたいことさえやっていれば、人生ってのは、そんなに悪いもんじゃない。
著者は最後の「謝辞」で3人に感謝している。医者と経営者と法律家だ。
大阪医科大学の根本慎太郎先生。福井経編興業株式会社の高木義秀専務。内田・鮫島法律事務所の鮫島正洋弁護士。
4年前のブログには前作の「下町ロケット」の感想が以下のように記してある。
「ロケット研究者が打ち上げに失敗して辞職し、下町の家業の中小企業を継ぐのだが、思いがけず、日本を代表する重工会社と戦いつつ、国家プロジェクトの一翼を担っていく感動的な物語である。日本のものづくりの現場の素晴らしさに勇気を与えてくれる作品だ。
大企業のスタイル、知財を巡る戦い、人間関係の複雑さ、そして志の大切さなどがよくわかる素晴らしい小説で、エンターテイメント性も高い。正義感、夢、企業とは何かという問いかけ、生き方、そういうものが底流を流れており、人の世も捨てたものではないという感慨を持って読み進めることができて気持ちがいい。脇役の出向の銀行マンの渋い役回りなどは銀行に働いたものの矜持だろうか。そして何より時代をよく描いており、人間のつかみ方も納得感がある。この小説が映画になるという報道もあったが、映画作品にふさわしい作品だと納得した。」
「名言の暦」11月30日
命日
- オスカー・ワイルド1900:楽観主義者はドーナツを見、悲観主義者はドーナツの穴を見る。
- ジェームズ・マッキンゼー1937:
- 水木しげる2015
- 私が幸福だと言われるのは、長生きして、勲章をもらって、エラクなったからではありません。好きな道で60年以上も奮闘して、ついに食いきったからです。ノーベル賞をもらうより、そのことの方が幸せと言えるでしょう。
- 私が40歳を過ぎてようやく売れだしたころ、手塚(治虫)さんはすでに押しも押されもせぬ漫画界の重鎮で、スーパースターだった。だから、そのころの手塚さんは売りだしたばかりの中年漫画家のことなんかあまり意識していなかっただろう。だが、私は手塚さんを「ライバル」だと思ってやってきた。
生誕