志村ふくみ「一色一生」(講談社学芸文庫)を読了。

志村ふくみ「一色一生」(講談社学芸文庫)を読了。

 

染織家の名匠・志村ふくみは、すぐれた文章家でもある。

それを示したのが、大佛次郎賞を受賞したこの「一色一生」である。

一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

「色と糸と織と」「一色一生」「糸の音色を求めて」「かめのぞき」「天青の実」と題する1章。「織 探訪記」「住まいと影」「今日の造形 織と私」「プレ・インカの染織を見て」「呉須と藍」「ルノアールの言葉」「老陶芸家の話」「蚕」「景色」と題する文章の並ぶ2章。

 

例えば「色と音」は、「今日は夕刻まで色とたわむれていた。」「話し合うような、たわむれるような、時には鍵盤をたたいて、余韻をたもしむような気持ちがするのである」「その色の一つ一つが純一に自分の色を奏でていることだ。色にも音階(色諧というべきかもしれないが)があって、、、」「四十八茶百鼠」「その卓抜した感覚こそ日本人そのものである」「染めは色の純度を守るためにあるようなものだ」、、というような珠玉の言葉で連なっている。和歌的な感覚と洞察に満ちた哲学が込められている。

読者はこの名匠の染織の着物を味わうように、深い言葉の世界に引き込まれていく。

 

さて、しかし、この本では3章が心に残った。

それは、志村ふくみがいかに成立したかがわかる壮烈な自伝である。

養父母に育てられた志村は、出生への疑惑にさいなまれながら、18歳で実母のから打ち明けられ、その実母から機織り世界に導かれる。

昭和31年から32年にかけての「日記」が載っている。東京に夫と子供をの残して近江の実家に帰った。織物の修業にはげみ、幼子と暮らせる日を願った。32歳だった。

「死物狂いでこの道を行こう。」「流れに逆らって一人漕いで行かねばならない。まがうことのない破壊を一方で行いながら、孤立の陣をはってゆく。仕事がすべてだ。生きて、夫や子供と別れることが出来たのだから、これ以上辛いことはよもやあるまい。」

 

「ふっくらとした色の盛り上がり、きりきりっと全体の引き締まる色合、雪や、大地や、石の上の苔や、そのものの肌ざわりまで感じさせる色、落葉の色、葡萄の色、露草の滴の色、物思わしげな色、艶やかな色、がっしりした色、無垢な色、小粋な色、ひと恋しい色、消え入りそうな色、日影の色、思い出の中に生きる色、夢の中でみた色、燃えている色、沈んでいる色、濡れた色、透けた色、何という色自体の多様さだろう。、、、一つ一つをかけがいのない、納得のゆく色でこれからの人生を描いてゆこうと願う。」

 

木工家・黒田辰秋のアドバイスも圧巻だ。

「自分のように我がままで、怠け者で不器用な人間は、こつこつ仕事をしてゆくしかない。、、、ただあなたがこの道しかないと思うならおやりなさい。まず自分の着たいと思うものを織りなさい。先のことは考えなくていい。ただ精魂こめて仕事をすることです。「運、鈍、根」とはそういうことです。何年も何年も黙々とひとりで仕事をつづけてゆけるか、中みがよっぽど豊かで、ぬきさしならぬことえでなければ続かないものです。」

汽車を下りたら猛烈な吹雪で一寸先もみえなかった。志村はその中を走りながら「仕事をしよう。仕事をしよう」と叫んでいた。

 

染織の世界で前人未踏の境地を開き、かつ内面世界を詩情豊かに綴っている志村ふくみの仕事は、多くの女性達に勇気を与え、日本の深さに思いを至らせる。志村ふくみの長い仕事に、文化勲章をはじめとする数々の名誉のある賞が与えられていることに深く納得する。

 

「名言との対話」10月31日。?

 

「副学長日誌161031」

午前:第2回「大いなる多摩学会」理事会を開催。

副会長の立場で出席。

-多摩信金長島部長、カスタマーコミュニケーションズ米倉社長、京王電鉄芦川課長、他は多摩大の先生達。

-入会状況。ホームページ(11月中旬にオープン)。英文名称。

-4つの研究プロジェクトの承認。

--「健康まちづくり産業」プロジェクト。厚生労働省のアワードに応募。健康増進プログラムによる行動変容のプロセス調査。2月に研究会、学会誌、6月の総会にて成果発表。アンケート調査、戦略道場、4月に研究会、6月総会で成果発表。

--「創業プラットフォーム」プロジェクト

--「東京オリンピックを契機とした湘南藤沢におけるインバウンド」プロジェクト。藤沢市観光協会藤沢市観光課。6月総会で成果発表。

--「ビッグデータ活用による多摩創生」プロジェクト。ID-POSデータを利用した多摩地域の生活者の消費行動研究。6月に総会で成果発表。

-大変有益な意見交換ができて、それぞれのプロジェクトに付加価値がついた。この学会の前途は有望だ。

 

昼食:多摩信金の長島部長、松本先生と3人で食事。アイデア、ヒントが続出。多摩の企業に関わる出版プロジェクトも。小池知事、横田基地、リニア、、、、。

 

午後:「ビジネススクエア多摩」企画運営委員会。委員長の立場で出席。

-上期運営報告。意見交換。

-多摩大出身の起業家を中心とした創業セミナーを提案。

 

-グローバルスタディーズ学部の太田先生と情報交換

-グローバルスタディーズ学部の橋詰先生と情報交換

-杉本係長:戦略会議

-杉田先生:OB起業家リスト

-金先生:意見交換

-飯田先生:読書

-高野課長:案件の動き