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西垣通「ビッグデータと人工知能」

西垣通ビッグデータ人工知能」(中公新書)を読了。
ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書)


冷静で中立的で本質的な洞察に基づく長期的な見通しに挑んだのが本書である。
この本によれば20145年のシンギュラリティ(技術的特異点)は到来しない。
人間に関する洞察、技術だけでなく文化的枠組みからの考察が不足しているのが、シンギュラリティを巡る議論にある。
欧米のユダヤ・キリスト教では創造主が存在するという考えだから、機械が人間を越えるという時が来るという結論にいたる。
日本やアジアなどの多神教の国では、機械を相対的にとらえることができるからロボット(機械)との共生が今までも行われてきたし、これからも共存することができる。
文系と理系にまたがる総合的学問である「ネオ・サイバネティクス」からの視点。20世紀の客観主義の限界を超えて、主観主義の観点を加えた生命的な学問思想。

人間

  • 柔軟で多元的な知的能力。状況に応じて臨機応変に問題に対処できる。
  • 現在の時点で判断。
  • 生物は流れゆく時間尾中で状況に対処しつつ自分を変えながら生きる動的な存在。
  • クオリア(感覚質)。感動、筆舌に尽くしがたい何か。
  • 生物は自律システム。自己循環的。
  • 閉鎖系。
  • 人間のコミュニケーションは詩的で柔軟な共感作用。
  • 目標設定には生物特有の価値観が必要。
  • 情報とは意味。
  • 全体知。

機械

  • 設計された枠組みからはみ出せない。プログラムとはプロ(前もって)、グラム(書く)だ。
  • 過去にとらわれた存在。
  • 融通がきかないのは本質的な性質。
  • 再現性に基づく静的な存在。
  • 機械は他律システム。
  • 開放系。
  • 人工知能の疑似コミュニケーションは指令的で定型的な伝達作用。
  • 専門知。
  • 情報とはデータ。
  • 価値観には無縁。

AIではなくIA(知能増幅)。人手にあまる膨大なビッグデータを分析し、専門家にヒントとなる分析結果を提供しつつ、集合知の精度や信頼性をあげていくことが使命である。

具体的な個別実用テーマ(クルマの自動運転、介護ロボット。医療行為、金融投資)について、技術だけでなく、社会や人間性の観点から検討する以外にない。

AIは仕事を奪わない。近未来のホワイトカラーはIA技術を使いこなす能力が求められる。

人間にしかできない仕事とは何なのか。
人間は現在の状況に応じた柔軟な問題設定と情報の意味解釈によって生きていく自立的存在だ。
機械は指令通りのアルゴリズムで過去のデータを高速処理する他律的存在であり、過去のデータに基づく有益な専門的助言を与えてくれる。
仕事を奪われるのではなく、仕事の質が変わる。
若い世代は、アジア的多様な価値観を持つ理想主義が、しなやかで非抑圧的な21世紀を実現していくだろう。。
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中津往復の飛行機の中で、多摩大セレクション文庫(仮称)第一弾となる「団塊坊ちゃん青春記」の校正が終了。

  • 第3部(終わりに)。デザイン。字を大きく。改行を多く
  • 足下か、足元か。
  • 著者欄の書き方。

「名言との対話」11月8日。島倉千代子
「振り返ると遅れちゃう。一歩進めるところが半歩になっちゃう」
1938年3月30日、東京市(現・東京都)生まれ。53年、日本音楽高校に入学。在学中に第5回コロムビア全国歌謡コンクールで優勝し、日本コロムビア(本社・東京)と契約を結び、専属歌手となった。55年、「この世の花」でデビュー。同作は、同名の映画作品の主題歌となり、200万枚の大ヒットとなった。その後も、ミリオンセラーとなった「東京だョおっ母さん」(57年)をはじめ、「からたち日記」(58年)、「恋しているんだもん」(61年)、「ほんきかしら」(66年)など多数のヒット曲を出した。57年にNHK紅白歌合戦に初出場して以来、86年まで連続30回出場(通算35回)。先輩の美空ひばりとともに、日本コロムビアの看板歌手として活躍した。88年には、「人生いろいろ」が130万枚の大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞。女優としても多くの映画やドラマに出演して活躍した。しかし、私生活では63年にプロ野球阪神タイガースの4番打者、藤本勝巳と結婚するも5年後に離婚。70年代には、借金の保証人となり多額の負債を背負ったり、乳がんの手術も受ける。99年、紫綬褒章を受章。2013年11月8日、肝臓がんで死去。75歳。
島倉千代子の人生は波瀾万丈だった。振り返らず、ずんずんと前に進んでいく。成果もあったが、落とし穴も多かった。その島倉千代の生き方を示したのが、この言葉だ。