文庫リレー塾最終回の講師は寺島塾長。

文庫リレー塾最終回。講師は寺島塾長。丸の内の日本工業倶楽部

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  • 時代認識。全体知。現象と構造。社会工学的知。課題解決。構想力。歴史認識。認識と意識。目的合理性。課題設定力。情報科学生命科学。宗教。生命史と人類史。
  • 2016年二つのショック。BREXITとアメリカ大統領選。BREXITはシルバーデモクラシーと金融街シティという構造。アメリカ大統領選のトランプ勝利と株高は、国民の声(プアホワイト)と市場の声(ウオールストリート)の亀裂がポイント。国際金融資本による成長戦略の圧力により、実力以上の財政出動と実力以上の消費生活。民主主義が資本主義の暴走を食い止めてきたバランス。格差と貧困への怒り。民主主義は金融資本主義を制御できるか。
  • 日本の貧困化は中間層の没落。勤労者可処分所得は1997年のピーク(49.7万)から2015年の42.7万まで7万円のダウン、年間84万円。21Cの家計消費構造では消費支出は3万円減少、年間36万円。学ばない、学べない。内向きの日本。世界が見えなくなっている。自画自賛。
  • 異次元の高齢化とそのインパクト。1996年1億人(高齢者7%)、2048年(高齢者40%)。有権者の5割、有効投票の6割が高齢者。シルバーデモクラシー。有価証券(株)の72%は高齢者が保有。株が上がれば高齢者が喜ぶ構造。世帯構造の変化。2015年単身世帯・予備軍が63.7%。1908年は38%。独居老人へ。都会の高齢化問題は深刻。食と農。社会参画。
  • 「中東 エネルギー 地政学」。モルティング(脱皮)

 

「名言との対話」11月30日。水木しげる

「好きな道で六十年以上も奮闘して、ついに食いきった」

水木 しげる1922年3月8日 - 2015年11月30日)は、日本漫画家文化功労者傷痍軍人。。代表作の「ゲゲゲの鬼太郎」河童の三平」悪魔くん」などを発表し、妖怪漫画の第一人者となる。

知的生産の技術」研究会で「私の書斎活用術」(講談社)という本を出したことがある。私はこのプロジェクトの責任者でもあったが、16人の著名人の書斎を訪問してまとめた。このとき、調布の水木さんの自宅を二度訪問している。確かお寺の墓場の隣に家があった。そのお墓をバックに楽しい話を聴かせてもらったが、その時「この人は本当は妖怪なのではないか」という疑問が頭をかすめたことを思い出す。本人は歯が抜けているのにいつもガーッと笑っている。書斎には、妖怪を新しく生み出すための資料棚があって、どうやって妖怪をつくるのですかと聞くと、「妖怪と妖怪を組み合わせる」と答えてくれた。異質なもの同士の融合。これは、紛れもなく知的生産である。

「筋を考えるのが漫画家の生命線です。、、、売れなかった時代でも、原稿料の大半は、漫画の筋を考えるのに役立ちそうな本とか、妖怪の作画のための資料とかを買い込むのに使っていました。」

「妖怪をリアルに再現するためには、表情、動作、背景などを入念に描き込まないといけない。資料を探し、文献を読み、想像力を働かせる必要もあって、総合力で作画に取り組まないといけない、、」

水木しげるの幸福の7ケ条:成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはならない。しないようではいられないことをし続けなさい。他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。好きの力を信じる。才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。怠け者になりなさい。目に見えない世界を信じる。

さて、水木さんは好きな漫画の道で一生を食い切ったと述懐している。漫画家になろうとしたとき、すでに同世代の手塚治虫は大スターだった。水木はひそかに手塚をライバルとして妖怪漫画を書き続ける。資料を買い込み、想像力を働かせ、自転車操業を続けた。そして難しいこの道で食い切った。漫画を描くことはまぎれもなく総合力の必要な知的生産である。

 

「副学長日誌・志塾の風161130」