センター試験初日

「名言の暦」1月16日、片岡球子

  • 「最初は下手でも結構。でも絶対に止めないで続けること。やれば必ず芽が出ます。」
    • 103歳という長寿の画家・片岡球子は1月16日に天寿を全うした。鮮烈な色彩、大胆な造形、力強い筆致、自由奔放さ、そういった形容がこの人にはふさわしい。
    • 球子は30代の頃に小林古径から「あなたはゲテモノに違いない。しかしゲテモノと本物の差は紙一重。どこまでも描いてゆきなさい」と言われた。ゲテモノとは下手物のことで、風変わりな珍奇なものを意味する。「落選の神様」と自らを自嘲していた球子は、作風を変えずに絵を描き続ける。そして独特の画風を完成させる。私は富士山を描いた賑やかな絵が気に入っている。
    • 2008年に亡くなっているから、同時代の画家という感じがするが、同じ1905年生れを挙げてみよう。福田赳夫、大河内一男、田辺茂一阿部定臼井吉見サルトル入江相政水谷八重子円地文子平林たい子入江泰吉、浪越徳次郎、島田正吾、、、。既に皆歴史上の人物として記憶にある人たちだ。生きた時代が違う感がある。生年よりも没年が大事なのだ。
    • 球子の年譜を眺めてみると、やはり長寿の凄味を感じる。68歳で愛知県立芸術大学を定年となってからも35年の現役であった。最高峰である文化勲章をもらってからもなお20年近くの人生があった。その間、第一線の画家として仕事に立ち向かう。定年を機に始めた教官と卒業生の会での法隆寺金堂壁画模写も約20年かけて完成させていることに驚く。始めたものは「絶対に止めないで続けること」という片岡球子のアドバイスは重みがある。