原田マハ「楽園のカンヴァス」読了−パリ・リトグラフ工房idemから

先日、東京駅ステーションギャラリーの「パリ・リトグラフ工房idemから」をみてきた。
原田マハとの共同企画だったこともあり、この作家の代表作「楽園のカンヴァス」(新潮文庫)を購入し読了した。

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

アンリ・ルソーの名作「夢」を巡るミステリー仕立ての素晴らしい小説だった。
大原美術館ニューヨーク近代美術館、スイスのバーゼル美術館、そしてピカソやルソーがいた時代のパリが主な舞台だ。。
1908年から1910年頃のパリ、1983年のニューヨークとスイス、そして2000年の倉敷と時空を超えて物語が展開する。
名作と画家を巡るコレクターとキュレーターが主役であるが、女性主人公は最初は美術館の監視員として登場する。

美神に取り憑かれた芸術家の想像力に迫っていく発想の大胆さ、絵画と芸術家に対する深い愛情、一枚の絵の謎を核としてさまざまの職業の人々の織りなす豊かな物語を紡ぐ構成力、そういうものを原田マハは持っている。今後どのような物語を見せてくれるだろうか。原田マハのファンになった。

今日、八王子の東京富士美術館で開催中の「顔」をみてきたが、監視員に関心が湧いた。
確かに名作ともっとも身近に長い時間接している人かもしれない。


「名言との対話」 1月30日。ガンジー

  • 自分がやることは何でも取るに足らないことのように見えるかもしれない。しかしながら、それをやることこそが大切なのだ。
    • マハトマ・ガンジー。マハトマとは「偉大なる魂」という意味である。これはインドの詩聖タゴールから贈られた尊称である。
    • 大英帝国の横暴に対し非暴力・不服従運動を貫き、英連邦へと変貌させ、後の世界の指導者にに大きな影響を与えた聖人・ガンジーは1月30日に亡くなった。
    • ガンジーは7つの社会的大罪」をあげている。原則なき政治・道徳なき商業・労働なき富・人格なき学識・人間性なき科学・良心なき快楽・献身なき信仰。いずれもそれぞれに突き刺さる矢のようにな勢いを持っている。
    • 「許すことのできるのは、強い者だけだ」というガンジーは、許しを土台とした不服従を説いた。負けるのではない、相手が弱いのだ、我々が強いのだ。
    • ガンジーは日本の運命を予言していた。「私は、あなたがた日本人に悪意を持っているわけではありません。あなたがた日本人はアジア人のアジアという崇高な希望を持っていました。しかし、今では、それも帝国主義の野望にすぎません。そして、その野望を実現できずにアジアを解体する張本人となってしまうかも知れません。世界の列強と肩を並べたいというのが、あなたがた日本人の野望でした。しかし、中国を侵略したり、ドイツやイタリアと同盟を結ぶことによって実現するものではないはずです。あなたがたは、いかなる訴えにも耳を傾けようとはなさらない。ただ、剣にのみ耳を貸す民族と聞いています。それが大きな誤解でありますように。 あなたがたの友 ガンディーより。」(1942年「すべての日本人に」)
    • この言葉は、現在への不満を嘆かないで、未来への希望を語り、小さなことでもやるべきことをやっていこう、と聞こえる。そして「明日死ぬつもりで生きなさい。永遠に生きるつもりで学びなさい」と人々に説いた。この生き方の指針にも感銘を受ける。