常井健一「小泉純一郎独白」

常井健一「小泉純一郎独白」(文藝春秋)を読了。

小泉純一郎独白

小泉純一郎独白

主要な歴代総理の回顧録をずっと意識して読んできた。
退陣後、すでに10年が経過しているが、小泉総理の本格的な回顧録は出ていない。
この本は回顧録ではなく、「原発ゼロ」に向けたアピールという意味で長いインタビューに応じたものだが、ところどころに現在の政治についての考え方がでている。
やはりこの人は魅力がある。

原発

  • 広島・長崎の原爆より百倍以上強い放射能がまき散らされている。
  • いまだになぜ事故がおこったのかはっきりしたことはわからない。
  • オンカロ」、、これを日本でやろうたって無理、、(地震国には原発は適さない)
  • 原爆爆破してメルトダウン起こせば、、、もう駄目。こんな脆弱な国はないよ。日本人に向けた核兵器を日本が持っているのと同じことにんる。
  • 人が住めなくなった福島の土地ができたこちのほうが、、、国富の損失じゃないか。
  • 多額の税金を投入しないといけない。、、自治体、銀行、鉄鋼、建設、セメント、IT,商社、下請け、新聞社、大学の原子力研究所、経産省、、、。よく押さえてきたよ。(多額の税金がかかる)(核廃棄物の捨て場がない)
  • 今の原発に頼った状態も三十年あれば自然エネルギーで十分まかなえるように変えられる。
  • 河合弁護士「原発訴訟が社会を変える」(集英社新書)、、、東電の裁判は面白くなるよ。どんどん、どんどん隠していたことが明るみに出てくる。

政局。

  • 新党は全部壊れるでしょう。野党だけでいくらやったって。自民党議員が出て新党をつくらないと伸びないよ。、、自民党っていうのはそれほど国民に根づいている
  • 自民党が変われば全部変わっちゃうんだから。自民党を変えるのが一番早いんだ。
  • 軽減税率なんて、高所得者対策だ。、、最悪だよ。軽減税率を設けるくらいだったら、消費税を上げないほうがいい。
  • 財政赤字はここまでくると削減できない。インフレで解決しようとする。困るのは国民。
  • 本来憲法九条は、自衛隊を軍隊と認めて、武力行使はしないと改正すべき。、、安全保障は野党第一党を味方につけなければいけない、争点にしてはいけない。

その他。

  • あいさつは三分以内。間が大事、早口は駄目。

−−−−−−−−−−−−−−−−
仙台から富田さんが上京したので、急遽会って地研の落合社長(富田さんの高校同級生)のところで懇親。
高校以来というから、会うのは50-60年ぶりとか。

−−−−−−−−−−−−
「名言との対話」3月30日。ウィリアム・アーサー・ワード。

  • 「凡庸な教師はただしゃべる。良い教師は説明する。すぐれた教師は自らやってみせる。偉大な教師は心に火をつける。」
    • 教師について名言は多いが、この言葉はそのなかでも出色である。この言葉を遺したワードという人についてはもっと調べないといけない。
    • 心に火をつける。この火は志ではないか。社会の不条理に対して生涯をかけて解決に力を注ごうと決意することが志だ。志を実現しようとすると学びが真剣になる。
    • 老若男女、誰に対しても、火をつける人は、もっとも大きな影響を与えることになるから、偉い人である。
    • 教師という仕事の本質は、このワードの言葉に尽きるのではないか。