Audibleで司馬遼太郎「おお、大砲」を耳で読了。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1961/10
- メディア: 単行本
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司馬遼太郎は太平洋戦争で戦車兵だった時に、とうとう動かなかった戦車がニセモノだったことを知り、日本の形式主の愚かさを知り、戦後はなぜ日本はそういう馬鹿な国になってしまったのかをテーマとして追いかけることになった。
時代は違うが、同じ形式主義に陥った社会が対象だ。体験した戦車もどきになぞらえて、大砲とそれにまつわる徳川300年間飯を食ってきた制度と人々を滑稽味豊かに描いた作品。
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「名言との対話」4月11日。西岡常一。
- 「百論をひとつに止めるの器量なき者は謹みおそれて匠長の座を去れ」
- 法隆寺を中心に、薬師寺、法輪寺も手がけた宮大工の希代の棟梁。1995年4月11日に没。
- 「棟梁は木の癖を見抜いて、それを適材適所に使う、ということやね」。
- 「功利的なことを考えずに、時間をかけてもええから、本当の仕事をやってもらいたい。ごまかしやなしに、ほんまの仕事をやってもらいたい。」
- 「職人の中から芸術が生まれて、芸術家といわれる人の中からは、芸術は生まれてきません。」
- 「自分からしてみせな。それがいちばんですな。なんぼじょうずに文句言うてもあきませんわ。やっぱりまず私自身鉢巻きをしめて、汗を流して、その人の前でこういうふうにやってくれと、実際してみせんとな。」
- 「「木を組むには人の心を組め」というのが、まず棟梁の役割ですな。」
- 以上のように最後の棟梁・西岡常一には名言が多い。檜を使うこの名人は「木」について多くを語っているが、この木とは人のことである。人の心を組んで初めて後世に恥ずかしくない仕事ができる。名人が発する言葉が、名言なのだと思う。