多摩大リレー講座は金美徳教授「緊張高まる朝鮮半島の行方」

リレー講座は金美徳教授「緊張高まる朝鮮半島の行方」。

  • 朝鮮半島問題は世界一難しい問題。
  • 日韓関係は最悪であったが、2015年12月の慰安婦を巡る日韓合意、2016年3月の首脳会談で良くなってきた。
  • 本日の5つのテーマ:北朝鮮の金ジョンウン体制は安定か不安定か。維持か崩壊か(100万人の難民、うち日系は3-4万人)。日朝国交回復はうまくいくか(1-2兆円の日本の金が必要)いかなないか。韓国をどう見るか、好きか嫌いか。南北統一はできるか(人口8000万人ドイツ並みの強国)できないか。
  • 金教授の4つの分析方法
    • 3年間の金日成総合大学での講義「資本主義経済・経営」を200講。資本主義の導入。3年生90名、若手研究者10名が対象。真面目な超エリート層。
    • 9ヶ月にわたる北朝鮮全土の旅:ないないづくしの国。医学50年遅れ。日用品不足。手作業。軍服しかない。純朴な農民。300万人の餓死者。
    • 北朝鮮の学者・テクノクラートとの議論:日本の政治が好き。小沢一郎ファン。人民を批判する。
    • 北朝鮮からの脱北者との議論:脱北者も全体像を知らない。研究者も北挑戦に行ったことがない。
  • 4つの学問的方法論。
    • 悲観論:しかし未だに崩壊せず。日本には北朝鮮研究者は40人。韓国には400人。
    • 楽観論
    • 南北経済共同体:うまくいっていない。南北対話路線から韓国主導へ。
    • 北朝鮮管理論::フリーズ。北朝鮮は中国を信頼していない。
    • 利害関係論:欧米、ロシア(インフラ)、、
  • 北朝鮮の概要:人口2500万人。面積は日本の三分の一。164ヶ国と国交。金ジョンウン34歳は6人兄弟の3男。3女と二人が実権。高麗、コーリー、コリア。核を持ち平和協定を結び独立を。何をもって拉致問題の解決とするか(17人、2万柱)、GDP3.3兆円(秋田県山梨県クラス)。一人当たるGDPはカンボジアクラス。成長率1%。IT・観光・労働者輸出(50ヶ国・3万人)・レストラン経営。税負担は4割(日本並み)。
  • 7回目の制裁で緊張状態:一触即発状態。米韓共同軍事演習32万人(「斬首」「統一」「上陸」等の作戦名)。北朝鮮は15発のミサイル発射。王毅外相「火薬の匂いが充満」。5月6日に32年ぶりに鮮労働党大会(文民統制、軍部にメス。内部対立の可能性)。
  • 核廃棄が本当にできるのか:ペリープロセス(クリントン政権の国防長官)の3つのNO。核をこれ以上つくらせない。これ以上高性能の核兵器をtくらせない。6ヶ国協議の再開。
  • アメリカ:日米韓が大事。特に日韓が大事。それは軍事協力。このため慰安婦をめぐる日韓合意を推進。日米連携強化のために一応解決した。しかし慰安婦たちは受け入れていない。
  • 南北統一問題:世界の専門家の見方:5-10年は存続か、崩壊するのは経済では無く権力闘争。核兵器は廃棄しない。韓国が主導すべき。ペリープロセスを支持。在韓米軍の撤退?
  • 韓国主導の統一論は無理。北朝鮮主導の赤化統一は認めない。北はリビアカダフィ)、ウクライナ核兵器を廃棄したからダメになったという教訓。統一に興味がない。第三次朝鮮戦争か。
  • ロシアは調停者として北に接近中。ドイツ「対等統一」。投資家ロジャーズ「5年以内に統一。すべての金をつぎ込む」。
  • 日本:統一は特需か。中国主導ではなくアメリカ主導、日米主導の統一であることが重要。日米関係、日韓関係。日本はユーラシア市場をにらめ。

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「名言との対話」4月28日。中里介山

  • 「人間が苦労しなければならないこと、苦労した人間に光のあるというのは、つまりこの慢心の灰汁(あく)が抜けているからである。苦労なんていうものは人生にないほうがよいのかも知れないが、それをしないと人間が増長して浅薄になる。苦労も人生の一つの必要である」
    • 電話交換手や代用教員をつとめ,キリスト教社会主義思想,トルストイの思想などに近づく。明治39年都新聞(東京新聞の前身)に入社し,大正2年から長編「大菩薩峠」(未完)を連載,虚無的な剣士机竜之助像で大衆文学におおきな影響をあたえた。4月28日、腸チフスのため60歳で永眠。
    • 羽村市郷土博物館の常設展「中里介山の世界」。羽村生まれの中里介山(1885-1941年)が机龍之介を主人公とした「大菩薩峠」は世界有数の長編小説。
    • 日本の近代文学の主流をなす文壇文学とはまったく別種の文学世界の追究にほかならない。介山の生涯は、以後この作品の完成を目ざした文学精進のそれといってよい。生涯妻帯せず、性狷介(けんかい)にして容易に他人と妥協することなく、自己の信念に忠実に生き、第二次世界大戦中は日本文学報国会への入会勧誘も拒絶した。
    • 人間は増長して浅はかになるのを防ぐためには苦労をして慢心の灰汁抜きをすることが必要だと中里は言っている。慢心の灰汁抜きとはうまいことを言ったものだ。いずれは「大菩薩峠」という41巻の未完の一大巨編を読まねばならない。