上橋菜穂子と「精霊の守り人」展。

上橋菜穂子と「精霊の守り人」展。

NHK放送90周年大河ファンタジー「精霊の守り人」は、2016年3月から3年かけて22話を放映する。その初回を見て原作者の上橋菜穂子(1962年生)に興味を持った。
世田谷文学館で「上橋菜穂子と「精霊の守り人」」展を見てきた。

この人はフィールドワークを大切にする文化人類学を土台とした、スケールの大きな物語作家、ファンタジー作家である。

1989年の「精霊の木」でのデビュー以来、賞を取りまくっている。
30歳、日本児童文学者協会新人賞。34歳、野間児童文芸新人賞。35歳、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞。38歳、日本児童文学者協会賞。39歳、路傍の石文学賞。40歳、巌谷小波文芸賞。41歳、
小学館児童出版文化賞。42歳、児童福祉文化賞、野間児童文芸賞。47歳、米国図書館協会バチェルダー賞。52歳、国際アンデルセン賞作家賞(自然への敬愛・多様な価値観のもとで生きる複雑な世界・小さなノーベル賞)。53歳、本屋大賞、日本医療小説大賞。
この間、45歳で、「ヤマジ−ある「地方のアボリジニ」のエスニック・アイデンティティの明確化と維持について」で博士号をとっている。

価値観や文化的背景の異なる多様な人々の心理や行動を鮮やかに描き、リアリティあふれる物語世界。風土、文化、政治、歴史など森羅万象が浮かび上がる中で繰り広げられるダイナミックな人間ドラマ。壮大な歴史絵巻である。やはり、文化人類学の匂いがする。

プロットは立てずに、イメージが湧いたら執筆にかかる。資料が必要になるのは書き出した後だ。
独特なのは、本を開いたときのページレイアウトそのままの画面で、書いていくことだ。
ディテールと経験、生活の手触りをよく知って描きたい、という。

  • 食は本当にいろんなことにつながているんです。、、、食文化を切り口にすると、見えることがたくさんあるんです。

本屋大賞をとった「鹿の王」(上)を読み始めた。

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「名言との対話」5月5日。ナポレオン。

  • 「指導者とは希望を扱う人である」
    • 英雄ナポレオンは1769年にコルシカ島に生まれ、フランス革命で活躍した後、1804年に35歳でフランス皇帝に就任する。1814年にエルバ島に流されるが脱出し再び帝位に就くが百日天下で終わり、セントヘレナ島に流され、1821年に52歳で劇的な生涯を閉じる。
    • 「百に六十の成功のチャンスをかぞえることができない限り、戦闘を交えるべきではない」「軍司令官たる者は勝利した軍隊であろうと敗北した軍隊であろうと決してこれを休息させてはならない」「最悪の策とは、戦争においては、ほとんど常に最も臆病な策である」「最大の危険は勝利の瞬間にある」「人間を動かす二つのてこは、恐怖と利益である」。こういった言行録は実に魅力がある。
    • 傾倒する人物では世界の中で圧倒的に多いのがナポレオンで、熱狂的な支持者が多く、そういう人たちは「ナポレオン狂」と呼ばれている。日本でも孫正義などもその一人だ。そういえば中学生の頃、ナポレオンに関する本を読んで、多方面にわたる業績に驚きと感動を覚えたことがある。
    • ビル・ゲイツは、個人では世界最大のナポレオン史料のコレクターである。妻ジョセフィーヌとの結婚契約書など、貴重な史料を所蔵している。ゲイツはナポレオンの失敗について詳しく分析をしていて、ビルは引退しなかったナポレオンの失敗に学び、ビジネスの一線から引き、財団をつくり貧困や医療やエネルギー革命に立ち向かっている。
    • 経歴を誇り、現在に愚痴をいう人は、すでに過去の人である。歴史を知り、現在を語り、未来の希望へつなげる人こそが指導者である。現在を生きる大リーダー達は、ライバルを歴史に求める。人類史における最大のライバルはナポレオンでだろう。ナポレオンはナポレオン狂を生み続けるだろう。