出光佐三「人間尊重七十年」(春秋社)

出光佐三「人間尊重七十年」(春秋社)を読了。

人間尊重七十年

人間尊重七十年

以下、心に届いた言葉。

  • 「黄金の奴隷となるな」(学生時代)。「組織の奴隷となるな」(戦時中)。「権力の奴隷となるな」(占領時代)。「数や理論の奴隷となるな」(独立後)。「主義の奴隷となるな」。
  • 二人の恩人。中津出身の神戸高商の水島てつや初代校長。淡路出身の日田重太郎からは別荘を売った8000円を無条件で提供してもらった。
  • 人格を磨く、鍛錬する、勇んで難につく、つとめて苦労する、隠忍する、贅沢を排して生活を安定する、しかして大いに思索する。
  • 愚痴をやめよ、世界無比の三千年の歴史を見直せ。そして今から建設にかかれ。(8月15日の玉音を拝して)
  • ドイツは戦争に負けたが、占領政策には敢然として戦っております。ドイツの再興はわれわれの手でやりたいと言っている。
  • 人間として偉ければいい。人間が偉いということは道徳の人、心の曇らない人になるということです。
  • 偉い人は都会から出ておりません。必ず地方から出ております。

仙涯の蒐集家として知られる出光佐三は学生時代からこの和尚の書画が好きで集めていた。仙涯が夢異な円通禅師であることを知ったのはずっと後になってからだそうだ。その蒐集が出光美術館をつくった。
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日経の「私の履歴書」は5月は将棋の中原誠永世名人。30日の病気になった記事から。

  • 中川一政画伯:神奈川県・舞鶴の港を約20年、毎日のうように描いた。
  • 中原誠「「病気に打ちかつことは難しい。しかし、共存して生きていくことは決してむずかしくない」

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「名言との対話」5月30日。東郷平八郎

  • 「百発百中の一発、よく百発一中の敵砲百門に対抗しうる」
    • 日露戦争海戦でバルチック艦隊を迎えた時の全軍に与えた「皇国の興廃この一戦に在り、各員一層奮励努力せよ」というメッセージで将兵は勇み立ち、完璧な勝利を得た。
    • 対馬には日本一の巨大レリーフがある。重傷を負ったロシアのロジェスト・ウェンスキー提督を佐世保海軍病院に見舞った東郷平八郎提督を描いたレリーフである。
    • 日露戦争の英雄東郷平八郎は、「日本海海戦に勝利できたのは製鉄所、造船所を建設した小栗氏のお陰であることが大きい」とし、地方の山村に隠棲していた遺族を捜し出し礼を述べた。
    • 西南戦争で「参謀が大事だ」という考え方が成立。総大将は戦いにうとくてもいい。有栖川宮総督と山県有朋参謀長。参謀養成のために陸軍大学校海軍大学校が創設された。大将の理想は陸軍の大山巌、海軍の東郷平八郎
    • 海軍の編成を平時に戻すときには、「神明は、ただ平素の鍛錬に力め、戦わずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直ぐに之を奪う。古人曰く、勝て兜の緒を締めよ、と」訓示した。「皇国の興廃、、」もこの言葉も起草は秋山真之参謀である。
    • 勝敗は平素の準備にあり。一勝に油断したものは次ぎの戦いでは直ちに負ける。軍隊は平時は訓練ばかりをしている。その訓練の質がいざというときの勝敗を決める。大事なのは平時なのだ。