映画「殿、利息でござる」−−地域創生の物語

映画「殿、利息でござる」。

金欠のため、百姓や町人に重税を課していた仙台藩。その中でも寂れ果てた小さな宿場町・吉岡宿の物語。千両(現在の3億円)を集めて殿様に貸し、毎年百両の利息を取ることを思いつき、実行する。それが幕府が倒れるまで続き、宿はなんとか平和な暮らしをすることができた。
原作は磯田道史の「無私の日本人」(文藝春秋)。

吉岡宿は、宮城県黒川郡大和町の一角にある町だ。宮城大時代にこの大和町の行財政評価システム導入検討委員会の委員長を仰せつかったことがある。当時の浅野町長は今でもそのままのようだからかなりの長期政権だ。その縁で、吉岡の町や、いくつかの性格の違う町の、町民の意識分析を行った記憶がある。吉岡宿とはその吉岡である。当時はそのような歴史を深掘りすることなく通っていた。

江戸中期のこの時代と今も、無駄な事業のために金欠に陥る行政の失敗を、どのように救うかが課題となっている。テーマは「行財政改革」で変わっていないということだろう。この映画は自分たちの町の課題を自分たちで解決しようと試みた人々の物語だ。地域創生の物語である。
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今日のオーディブル

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「名言との対話」6月14日。マックス・ウェーバー

  • 「自己を滅しておのれの課題に専心する人こそ、その仕事の価値の増大とともにその名を高める結果を得る」
    • ウェーバー(1864年4月21日 - 1920年6月14日)はドイツの社会学者・経済学者。近代社会科学方法論の確立者であるとともに、宗教と社会との関係を論じた第一人者。特に著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は有名だ。
    • 「政治家を職業とするには2つの道がある。政治の「ために」生きるか、政治に「よって」生きるか、そのどちらかである。」
    • 「精神のない専門人、心情のない享楽人、この無のものは、人間性のかつて達せられたことのない段階にまで登りつめたと自惚れるだろう」
    • 最近の政治の世界に見られるの出処進退の悪さや、経済の世界での度重なる不祥事をみていると、ウェーバーの以上の言葉は予言のように響く。「倫理と精神」という社会の基盤が揺らぐことこそが危機である。