追悼文

神保町の古本屋で見つけた嵐山光三郎「追悼の達人」(新潮社)を少しづつ読み進めている。
作家が亡くなったときの「追悼文」の研究である。

昭和58年(1988年)の小林秀雄から昭和8年(1933年)の巌谷小波まで、新しい時代から読んでいる。
武者小路実篤川端康成志賀直哉三島由紀夫谷崎潤一郎柳田国男火野葦平永井荷風高村光太郎堀辰雄斎藤茂吉林芙美子太宰治横光利一幸田露伴島崎藤村北原白秋与謝野晶子萩原朔太郎泉鏡花岡本かの子中原中也鈴木三重吉与謝野鉄幹坪内逍遙竹久夢二宮沢賢治

49人の作家を生年順ではなく、没年順に並べているのも気に入っている。嵐山は5年間にわたって追悼文ばかり読み漁った。その結晶がこの本だ。後半分を読み進めたい。
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「名言との対話」6月21日。マキャベリ

  • 「新しい秩序を打ち立てるくらい、難しい事業はない」
    • マキャベリ(1469年5月3日 - 1527年6月21日)は、イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の外交官。著書に「君主論」がある。
    • 6月21日には、織田信長明智光秀によって謀殺されている。信長を選ぼうとしたが、名言は少ない。考えてみれば信長は行動とその集積である生涯そのものが一編の詩であったから、言葉はさほど重要では無い。したがって、心置きなくマキャベリを選ぶこととした。マキャベリの語録は名言の宝庫だ。
    • 「弱体な国家は、常に優柔不断である。そして決断に手間取ることは、これまた常に有害である」
    • 「決断力のない君主は大概みんな中途半端な中立の道を選ぶ。そしてその大方は滅びていく」
    • 「軍の指揮官にとって、最も重要な資質は何かと問われれば、想像力である、と答えよう。」
    • 「人間というものは、危害を加えられると思い込んでいた相手から、親切にされたり恩恵を施されたりすると、そうでない人からの場合よりずっと恩に感ずるものである。」
    • 頼朝は「このたびのことは天下の草創なり」と幕府開設の意義を語った。家康の幕府開府も同じであり、明治維新も同様に、新しい秩序の創造は難事業であることは間違いない。政権は崩壊はさせられる。しかし、新しい建設こそは最大の難題である。