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「文字の博覧会」−−−印刷人・中西亮のライフワーク

LIXIL京橋ギャラリーで開催中の「文字の博覧会」を観た。
京都の中西印刷の6代目社長・中西亮(1928-1994年)が生涯をかけて集めた世界の文字資料「中西コレクション」の展示である。
95種類の文字。世界で使われているほぼすべての文字40種。図書1256点、新聞13地域1171点。
手稿、墓誌の拓本、経典、書簡、会計文書、地図、版木、護符など、標本資料は296点、
これほど多くの文字種を集めた個人コレクションは世界にも例がない。

40才までに日本国内をほぼ回り終えた中西は41才からは外国を回る。
25年間で100を超える国々を訪問。3000点近くの文字資料を収集した文字ハンター。
「文字は人類文化最大の成果である」と中西は語っている。
変わった文字が百花繚乱なのはインドと東南アジアである。
著書「世界の文字」「世界の文字を訪ねて」「文字に魅せられて」(同朋出版)。


展示してある文字は以下。
大般若波羅密多経、サンスクリット語の手写本、西夏文字李氏朝鮮時代の木版経本、モンゴル語仏教経典、ハングル、スーフィズムペルシャ文字、コーランモーゼの十戒ビルマ文字、シャン文字、ラオ文字、クメール文字、カンナダ文字、バリ文字、ユンヤン文字、エスキモー文字、デザレットアルファベット(モルモン教)、オリヤ文字、タミル文字、ラテン文字、、、、。

八重山象形文字であるカイダー文字も展示されていた。税金や米の収穫量を記録するための文字で、17世紀後半につくられた。

文字の始まり、起源。
エジプト文字(ヒエログリフ)。紀元前3000年、絵を発展させた象形文字
シュメール楔形文字メソポタミアシュメール人)。象形文字から楔形文字へ。
漢字。殷王朝で紀元前1500年の甲骨文字から。。漢字は古代から現代まで使い続けられている世界で唯一の文字だ。中国で生まれ、甲骨文字、金文を経て、秦の始皇帝によって字形が統一された。そして漢の時代に隷書として完成したことから漢字と呼ばれるようになった。

文字には5000年の歴史があり、300の文字がある。

京都には旦那衆の文化があり、本業以外の文化活動に時間とお金をつぎ込む伝統である。
中西亮は印刷人(家業)としての活動と重なる形で、知的好奇心と行動力でライフワークに人生をかけたのである。
中西印刷は学術書を印刷する印刷所・出版社であった。
中西亮は仕事と趣味を重ねることで、ライフワークをやり続けた人生ということになる。


「名言との対話」7月18日。大河内伝次郎

  • 「芸の上手と言うも、下手と言うも、ほんのわずかな差である。その差は決して技巧の差ではない。その人柄からくる無技巧の差である。」
    • 「姓は丹下、名は左膳!」というセリフでよく知られていた人気役者・大河内伝次郎は1898年に福岡県豊前市大字大河内に開業医の息子として生れている。13歳で大阪商業学校入学、18歳で東京銀座の明治屋に入社するが、この間文学に励み雑誌に投稿を続ける。26歳の時に関東大震災に遭遇し人生観が変わり宗教書を読み耽る。28歳、新国劇俳優養成所に入り脚本を書くが、師師の倉橋の夫人に「独特の発生」を面白がられ俳優に転向する。沢田正二郎の第二新国劇一期生で初舞台を踏む。29歳、日活大将軍撮影所入社。伊藤大輔監督との丹左膳、国定忠治机龍之介と続く長いコンビが始まる。35歳、大分県宇佐市の寺の娘と結婚。40歳、日活を退社、東宝へ移る。閣下、ハワイマレー沖海戦、怒りの海、など現代劇を演ずる。50歳、新東宝映画撮影所で長谷川一夫山田五十鈴。52歳、大映入社。われ幻の魚をみたり。55歳、黒澤明監督の虎の尾を踏む男達。56歳、生涯の好敵手だった坂東妻三郎死去。60歳、東映入社。64歳、赤い影法師を最後に7月18日逝去。
    • 時代劇の名優として一世を風靡した大河内伝次郎は、フィルムは消えるが庭の美は消えることはないという考えで34歳から64歳で逝去するまでの30年にわたり庭造りに熱中した。莫大な映画の出演料のほとんどを現在では京都の大河内山荘と呼ばれる庭に注ぎ込んだ。起伏のある、広大な、庭木の手入れの素晴らしい、点在する日本家屋、など人生を賭けた大事業だったことが感じられる庭造りに感嘆した。大河内山荘百人一首で有名な小倉山にあった6千坪の荒地に30年の歳月をかけてこつこつとつくりあげた名庭園である。嵐山を間近にみて、反対には京都の街と比叡山などが望める絶景の地である。
    • 俳優は仮の姿で、庭造りのために、あらゆる役を引き受けた大河内伝次郎。芸の世界もあるレベル以上になれば、技巧よりも人柄が重要になる、ということだ。名人、横綱、棟梁、そう呼ばれる人たちは、日本では人格者であらねばならなかったし、そういう人物を目指さねばならない。