「太った豚になるよりは、痩せたソクラテスになれ」

「名言との対話」8月9日。大河内一男。

  • 「太った豚になるよりは、痩せたソクラテスになれ」
    • 大河内一男(1905-1984年)は昭和時代の経済学者。独自の社会政策理論である大河内理論、経済学史分野での優れた業績、日本の労使関係理解のためのキー概念の提示など、学界に大きな影響を与えた。東大総長になったが東大紛争で辞任。辞任後は社会活動に従事。8月9日、79歳で逝く。
    • 冒頭の言葉は1964年3月の東大卒業式で大河内総長が語ったとされる言葉である。マスコミでも大きく報道され、当時中学生だった私はその反響の大きさを印象深く覚えている。もともとはジョン・スチュワート・ミルの「「満足な豚であるより、不満足な人間である方が良い。 同じく、満足な愚者であるより、不満足なソクラテスである方が良い。」の大河内の意訳である。
    • 最高学部を出た君たちは、満足した太った醜い豚になるな、そうではなく世を憂う精神生活の活発な大人になれ。そういう訓示である。東大総長の言葉はそれ以降もマスコミに取り上げられたが、この言葉ほど世間にインパクトを与えた言葉は無いように思う。平成28年3月の五神総長は「知のプロフェッショナル」「集合知としての東京大学」と述べているが、やはり大河内総長の豚とソクラテスの警句は簡潔で刺さる。警世の言葉だからだろう。ペンは剣よりも強い。