井上智洋「人口知能と経済の未来」(文春新書)

井上智洋「人口知能と経済の未来」(文春新書)を読了。

 副題は「2030年雇用大崩壊」である。以下、要旨。

2030年までは、自動翻訳機、自動運転車、自動通訳、、、、など特化型人工知能によって社会が変わっていく。そして2030年頃に汎用人工知能が開発され、経済や社会は大きく変わる。汎用AIが誕生し、そして2045年にシンギュラリティが訪れる。

その世界は労働から解放されるユートピアか、極端な貧富の差のあるディストピアか?

 

機械との競争による技術的失業で被害を被るのは中間所得者だ。肉体労働の次には事務労働が代替される。企画・研究開発などの頭脳労働の高所得者は、会計士や弁護士などを除き生き残るだろう。

身体を持たないという「生命の壁」があり、人間が与えた範囲でしか活動できないから、すべてを任せるほどにはAIは発達しない。

2030年の汎用AIの出現あたりから第4次産業革命が起こってくる。アメリカの次の覇権国家ヘゲモニー国家)アメリカか、ドイツか、日本か。機械化経済で第二の大分岐が起こり、2060年頃に移行が終わる。

 

2030年には就業者が今の半分になり、2030年から2045年には、1割しか労働しない社会になるかもしれない。

AIに負けない領域とは何か? 他人との通有性が必要な職業。CMH。

 クリエイティブ系(創造性):小説、映画、発明、企画、研究、、。

 マネジメント系(経営):工場・店舗・プロジェクトの管理、企業経営、、。

 ホスピタリティ系(もてなし):会議、看護、保育、インストラクター、、、。

 

労働から解放される社会では収入の道がなくなる。全国民に定額を給付するベーシックインカムが有効だ。行政コストをかけずに毎月口座に振り込む。月7万円のBIは100兆円の財源、現在の所得保障36兆円に25%の新所得税64兆円でまかなえる。BIがあればユートピアになる。

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「名言との対話」2月12日。田辺茂一「自分にしか歩けない道を自分で探しながらマイペースで歩け」

田辺 茂一たなべ もいち 本名の読みはしげいち、1905年2月12日 - 1981年12月11日)は、東京府出身の出版事業家、文化人紀伊國屋書店創業者。

 紀州備長炭を商う「紀伊國屋」の跡取りであったが、書店経営を志し1927年に紀伊國屋書店を創業する。経営が安定した1950年以降は、経営に関与せず、銀座を中心に飲み歩き、華麗な女性遍歴を重ね「夜の市長」と呼ばれている。

「何でも時代のせいにしていれば、そりゃ楽だ」

「僕は経済も経営も分からない。分かろうとも思わない。女性を通じて社会を理解するのがライフワークだ」

「囃す(はや)されたら踊れ」

冒頭の言葉では、「マイペースで歩け」が気に入っている。足早に追い抜いてくライバルと無闇に競争せずに、自分の領域をじっくり時間をかけて歩いていけばいいんだよ、と田辺茂一は教えてくれる。