太田俊明「姥捨て山繁盛記」(第8回日経小説大賞受賞作)

太田俊明「姥捨て山繁盛記」(日本経済新聞出版社)を読了。

 

姥捨て山繁盛記

姥捨て山繁盛記

 

 第8回日経小説大賞受賞作である。

高齢化。政権交代。ダム。認知症。雪山での自殺。施設。

ワイン。庭園写真美術館。奇跡の村。自給自足経済。

世代を超えた結束。使命感。、、、

「数珠つなぎにうまくいく時のわくわく感がある」「映画的で楽しく読める」「一見、夢物語風だが、社会的な視点が据えられている」などが審査員の評だ。

社会問題と生き方をリンクさせた健全な筋書きの小説だ。

著者は1953年生まれ。東大野球部の遊撃手として東京六大学野球で活躍。卒業後は総合商社、テレビ局に勤務し、2013年定年退職。

受賞インタビューでは、60歳の定年後、日経小説大賞をターゲットにして毎一作づつ書いていこうと決めたと語っている。昨年は最終候補にあがっている。

定年後の過ごし方として、なかなか興味深い。

「書斎の窓から見える景色は毎日同じでも、物語を書き始めればその世界に入っていくことができます。雪の舞う箱根路を疾走するランナーの高揚感、ぶどう畑を見下ろす峠に一人佇(たたず)む認知症を患った男の喪失感、江戸の町の喧噪(けんそう)の中を分厚い本を抱えて速足で歩く男の使命感。いくつもの人生を疑似体験できるのは、小説を書く醍醐味です。」

 

「副学長日誌・志塾の風」170313

多摩キャンパス

  • 杉田先生
  • バートル先生:大学院
  • 樋口先生
  • 高野課長:改革総合資料。リレー講座9年間のまとめ。
  • 杉田先生:人事委員会打ち合わせ

永山

  • ゼミの卒業たちと歓談。

 

「名言との対話」。3月13日。大山康晴「賞はごほうびではなく、激励のしるしである」

大山 康晴(おおやま やすはる、1923年大正12年)3月13日 - 1992年平成4年)7月26日)は、将棋棋士。主な記録としては、公式タイトル獲得80期(歴代2位)、一般棋戦優勝44回(歴代1位)、通算1433勝(歴代1位)等がある。十五世名人、および、永世十段・永世王位・永世棋聖・永世王将という、5つの永世称号を保持。倉敷市および青森県百石町名誉市民・名誉町民。

「一時の栄光を求めるより、長く続けることが大切」 「人が真似できない芸を持つことが一流の条件である」 「無冠となって、気持ちが軽くなった。あとは、どうして立ち直ろうかと、その点にしぼってゆけばよいと自分を慰めた」 「立ち直るためには、一刻も早く以前の立場を忘れることである」 「こんどは、新しいものを身につけなければいけない。」 「五十の手習いという。私の場合もそれと同じで、五十歳で再出発をしなければならないということであった。」

もらう賞はごほうびではない。激励にこたえてさらに磨きをかけていこう。そういう人には誰もかなわない。この心構え、恐るべし。29歳で名人位に就いた天才棋士という華やかな経歴にももちろん尊敬の年を覚えるが、むしろ、50歳で無冠になってからの大山の心構え、心掛け、そしてその後の棋士としての生き方に興味を覚える。若い時代の黄金の輝きとは違った、燻し銀の重厚な輝きこそ偉大である。大山の50代以降の仕事と人生への対処は、現代に生きる私たちに大いなる勇気を与えてくれる。