アドルフ・ヴェルフリ「二萬五千頁の王国」展。アウトサイダーアートの嚆矢

 アドルフ・ヴェルフリ「二萬五千頁の王国」展。

アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930年)はスイス生まれの画家。アール・ブリュットを代表する芸術家。精神に障害がある画家ということでアウトサイダーアートと言う分野に属す。35歳から精神病院で絵を描き始める。1908年から1930年にかけて2万5千頁に及ぶ作品を描く。これは膨大な思考体系だ。

治療に当たった医師は、「空想の無秩序。道具を使わずに描く技能を持っている。直線とカーブからなる絵ばかり」と記している。

リルケユングも感銘を受けており、シュルレアリストアンドレ・ブレトンは「20世紀のもっとも重要な索引の3つか4つのうちのひとつ」と言っている。

1975年にはベルリン美術館の中にアドルフ・ヴェルフェリ財団が創設されている。

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叙事詩・絵画・楽譜・数字・表計算などあらゆるものが横溢する比類の無い作品世界。

  • 少年ドルフィが世界中を冒険する空想の自伝的旅行記「揺りかごから墓場まで」
  • 地球全土を買い上げ「聖アドルフ巨大創造物」を作り上げる方法を説く壮大なる創世記「地理と代数の書」
  • 自身のレクエイムとも言われる呪文のような果てしなきマントラ「葬送行進曲」

精神病院で書かれた「短い自伝」という書き物には、不幸な生い立ちと数々の試練、そして刑務所生活のことが記されている。

アール・ブリュットの王」アドルフ・ヴェルフェリは呼ばれている。アール・ブリュットとは、精神病患者、子ども、素人芸術家らの作品を指す。展覧会を見終わって、これは何だろうという奇妙な感慨を持った。精神に障害がある人の芸術作品、あどけない子どもの描く絵画作品、偶然発見される自分のために絵を描いく人々の見事な作品、彼らの内面はうかがい知れないが、彼らの精神世界は豊かなことは間違いない。アウトサイダーアートもアートの重要な部分であることは間違いない。

 

「副学長日誌・志塾の風」170511

 午前:研究室にて仕事。

昼:渡辺先生から本日のゲストの台湾観光協会の野村産さんを紹介される。

午後

・下井先生:SGSのFD(研究)の件。多摩大出版会。

・渡辺先生、安田SGS学部長:ホテル講座の打ち合わせ。

・金先生も加わり歓談

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 ・高橋さん(知研)来訪:支部再編のアイデア

 

 リレー講座:本日のゲストは安田学部長。

「18-19世紀中国の異文化理解:東西文化交流からの学び」。

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 帰りに駅で買った文藝春秋6月号の「蓋棺録」。亡くなった著名人の短い紹介のコーナーだ。4月は、渡部昇一ペギー葉山松本俊夫京唄子大岡信が紹介されてる。大岡信のコーナーを読むと,万葉集は4600首(余首)、朝日新聞の「折々のうた」は6762回という数字が書いてあった。このブログも本日で4608日だから、万葉集の歌の数を超えたことになる。次は大岡信の6762か。あと5-6年はかかる勘定だ。

 

 「名言との対話」5月11日。川喜田二郎「創造的行為の三カ条。自発性、モデルのなさ。切実性」

 川喜田 二郎(かわきた じろう、1920年大正9年5月11日 - 2009年(平成21年)7月8日)は、日本の地理学者、文化人類学者。

川喜田二郎の頭文字をとって命名されたKJ法の創始者である。KJ法の創始者である。KJ法はフィールドワークから生まれた創造性開発法。

「創造的行為というものは、、、自分が生み出したものとの間に強い連帯感を抱くものであり、それによって自分自身が変わっていくのを感ずるものである」

 「決断力のないリーダーは、誤った決断をするリーダーよりも劣る」

「共通課題への挑戦こそ人びとを結ぶものである。そうして解決という産物まで生みだしてこそ、その主人公もまた 創造されるのである。その達成感こそ人を育てるものである」

 生涯を通じて「創造」を考え抜いた実践者である川喜田二郎は、自発性・モデルのなさ・切実性を挙げている。自分自身の内からでてくるやむにやまれぬ強い動機から、今まで誰もなし得なかったことに、自ら突っ込んで行く。それが創造への道だ。その過程で自己変革が起こる。そして共同で達成した後には、関わった人々には強い連帯感が生まれる。こういたプロセスが人を育てることなのだ。リーダーたる人はそれを意識したい。