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ミュシャの「スラブ民族叙事詩」--50才からの16年をかけた畢竟のライフワーク

国立新美術館の「ミュシャ」展。

ミュシャ(1860年-1939年)は、27歳でチェコからパリに出て、大女優・サラ・ベルナールの肖像を描き、一躍アール・ヌーボーの人気画家になる。1900年のパリ万博ではボスニア・ヘルツェゴビナ館の室内装飾を移植された。スラブ文化を紹介する唯一の建物だった。1908年までオスマン帝国に属しながら1878年よりハプスブルグ帝国の施政か下に置かれた二つの国を紹介する仕事だった。

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ミュシャスラブ民族の連帯を主題とする連作絵画を制作することを意識する。そしてスメタナ交響曲「わが祖国」の演奏を聴いて、その想いを強くする。1909年には「スラブ叙事詩」20点を制作するスポンサーを見つけて、翌年プラハに戻る。このときミュシャは50歳。プラハ市は専用の美術館を建てると約束しこの大事業に着手する。1911年から16年間かかって「スラブ叙事詩」が完成するが、第一大戦後にできたチェコスロバキアの独立もあり、愛国心が薄れている時期であり、又資金面の問題もあり、専用美術館は建設されなかった。

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今回、日本初お目見えの大作はまことに魅力的な圧巻の作品だった。前景に配置されたスラブ人の哀しいまなざしの強さ、下方には歴史上に実在した人物、そして上方には時代を超越した神話的な人物が描かれている。堂々たる大きさ、思想の幅の広さ、民族の苦難を描いたメッセージなど、世界的・歴史的な名作だ。

スラブ民族とは、ロシアをはじめとする旧ソ連諸国および東欧諸国に居住するヨーロッパ最大の民族である。1995年における総人口は約3億で、その内訳は、ロシア人1億4650万、ウクライナ人4600万、ベラルーシ人1000万(以上東スラブ)、ポーランド人4900万、チェコ人1038万、スロバキア人450万(以上西スラブ)、ブルガリア人845万、セルビア人1016万、クロアチア人565万、スロベニア人230万、モンテネグロ人62万、マケドニア人177万(以上南スラブ)などである。

パリでの成功で手に入れた名声と生活を捨てて、民族のために50歳から66才までの16年間のライフワークに挑むミュシャの姿には感銘を覚えた。彼の志は今なお生きている。

 

「つばめカメラ」という傑作を見かけた。

近所のショッピングセンターの一角の高いところにつばめがつくった巣の真上にカメラを設置して、巣の中の様子を実況中継しているボックスをみかけた。つばめの親のしっぽの部分とその下に白い卵がいくつかみえる。この仕掛けは素晴らしい!

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今日の収穫。テレビから。「将棋の名人」

・升田名人「運・勘・技・根」

・大山名人「天才は不安定だから、天才とと呼ばれるうちはまだまだ。安定した実績が大事」

・中原名人「内容ではなく、勝負」

・森内名人「考え続ける」

 

「名言との対話」5月14日。前川国男「建築の理論を最後の一歩まで推し進める力は、口でもない手でもない、やはり建築家それ自身の生活力または生活意識そのものであります」

前川 國男(まえかわ くにお、1905年5月14日 - 1986年6月26日)は日本建築家である。府立一中、一高、東京帝大工学部卒。ル・コルビュジェの事務所に入所し、帰国後建築設計事務所をひらく。丹下健三らを育てる。

 紀伊國屋書店、慶応大学付属病院、国際文化会館などを設計。70歳を過ぎてから各地の美術館を設計する。東京都美術館弘前市美術館、熊本市美術館、山梨県美術館、国立西洋美術館福岡市美術館宮城県美術館国立国会図書館、、。日本の公共建築に大きな足跡を残している。

「人の上に立つタイプはふたつあり、親分とリーダーに分けられる。リーダーは本を読んだり後天的な努力で成り得ることができるが、親分は生まれもっての資質であり、努力してなれるものでは決してない。そしていなくなったところで人々の記憶に残らぬのがリーダーであるが親分はいつまでも記憶から忘れ去られることはない。そういった意味では前川國男は私達にとってまぎれもない親分であった」。部下の言葉である。

「前川邦夫 現代との対話」(六曜社)をぱらぱらとめくっててみると、建築家にとどまらず、思想・文化の巨人だったようだ。文化的価値の高い歴史的建造物を復元・保存・展示している小金井市江戸東京たてもの園前川国男邸は、吹き抜けの居間を中心に、それをはさむように寝室、書斎を置くという簡明な構成。概観の全体像は和風。建築面積は115.55へーべと小さいが、豊かな快適な空間を意識させる。強い生活力と高い生活意識を感じる空間であり、冒頭の言葉に納得する。