井上靖「蒼き狼」--鉄木真(テムジン)が成吉思汗(ジンギスカン)になっていく物語を描いた名著

井上靖蒼き狼」(文藝春秋)を読了。

 鉄木真(テムジン)が成吉思汗(ジンギスカン)になっていく物語。

蒼き狼 (新潮文庫)

蒼き狼 (新潮文庫)

 

 父が判然としないまま生まれたモンゴルの子は首を刎ねた敵のメリキトの首領の名前の鉄木真(テムジン)と名付けられた。同様に鉄木真の長男は父が判然としないまま生まれ、客人という意味のジュチと名付けられた。

モンゴル族蒼き狼となま白牝鹿から生まれた最初のバタチカンが祖先である。この二人は出生の謎があるため、「狼になろう」と生涯を戦い続けた。敵を持たない狼は狼ではなくなる。その物語である。

1189年鉄木真は28歳でモンゴル部族の長である汗に推される。44歳、全蒙古の王となり盛大なる大君という意味の成吉思汗(ジンギスカン)となる。大きい耳、鋭い眼、引き締まった口許。

乱れのない統制。重層的な組織。厳しい訓練。鉄の規律。若き耶律楚材を登用する人材眼。「草原の如く拡がれ。海の如く布陣せよ。そして鑿(のみ)の如く闘え」という戦法。それが連戦連勝で空前の大帝国を築いた成吉思汗のやり方だった。戦いに明け暮れれ中で勇壮な武将たちが育った。後継者候補の息子たちはそれぞれ逞しく育っている。また孫になるフビライとフラグも傑出していた。

成吉思汗はただ生きているだけでなく、楽しく生きることをモンゴルに与えようとした。それが現実になってみると、モンゴルではなくなると強い違和感を覚るのだった。

西夏チャガタイ汗国・オゴタイ汗国・イール汗国・キプチャク汗国をつくり、インドと中国・宋をのぞく世界を征服した成吉思汗は、モンゴルの蒼き狼の末裔であることをまだ立証できていないと考える。大作戦を戦い続ける原動力はそれであった。出生の秘密を乗り越えるための人生であった。享年65。

成吉思汗の孫の第5代のフビライが1271年に建国した統一王朝・元は1271年から1368年まで100年保たずに滅び、朱元璋の明が引き継ぐ。

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日本未来学会理事会(門前仲町の未来工学研究所にて)

・部会設置のルール:デジタルエンターテイメント研究会(ゲームカルチャー、、)

・多摩大未来学連続講座

・日本キューバ統合医療シンポジウム:7月15日(東京)。7月17日8大阪)。

・使用済み核燃料処理:文殊正式中止。ADSで半減期が数万年から数百年に。化石燃料は地球の賜、再生エネルギーは太陽の賜、核エネルギーは宇宙史の賜。ADSは加速器駆動システムとは加速器から陽子を発生させてターゲットに当て、核破砕によてr大量の中性子を発生させて、その中性子を未臨海核燃料体系で増倍させるハイブリッドシステム。

・50周年プレイベント:12月10日京都議定書20周年記念イベントの企画。

・エロス(愛欲)とタナトス(死)の未来学(銭湯で語り合うハダカの未来学)

・大いなる多摩学会総会:6月10日

 

 

「名言との対話」5月30日。安岡章太郎「人生に悩みはつきもの、特に人生の転換点で、その後の人生に知恵と勇気を与えてくれる名言は必ずあるものです」

安岡 章太郎(やすおか しょうたろう、1920年5月30日-- 2013年1月26日)は、日本小説家

1953年から1955年頃にかけて文壇に登場した新人作家。安岡章太郎吉行淳之介遠藤周作などを山本健吉が、第一次・第二次戦後派作家の本格派に対し、私小説を中心とした「第三の新人」と命名した。安岡はその旗手だった。

1953年には選考委員の評価が真っ二つに割れながらも『悪い仲間』・『陰気な愉しみ』により、芥川賞を受賞した。戦後の家族の崩壊を描いた「海辺の光景」(1959)で芸術選奨野間文芸賞を受賞。「幕が下りてから」(1967)で毎日出版文化賞。自らの家系をたどった「流離譚(たん)」(1981)で日本文学大賞、母方の家系をたどった歴史小説「鏡川」(2000年)で大佛次郎賞。「僕の昭和史」で野間文芸賞。92年には現代文学に貢献したとして朝日賞を受けた。95年には中里介山の未刊の小説「大菩薩峠」をテーマにした評論「果てもない道中記」を発表しベストセラー。2001年、文化功労者

生涯、〈学校と軍隊と病院〉に象徴される近代社会における抑圧や束縛を嫌い、「劣等生」 「ナマケモノ」を自称した小説家だった。2013年、92歳、老衰で死去。

自分の感じていることを誰かが短い言葉で説明してくれるのを発見すると深く共感する。迷っている時に一条の光が差すようにある言葉が向こうから目に飛び込んでくる。名言は人生行路を照らす先人たちの知恵の光であり、次の航海にこぎ出す勇気を与えてくれる励ましである。悩み多き安岡は名言の蒐集家であったのではないか。