本日のリレー講座は白井さゆり先生 「金融政策と経済物価情勢」

 リレー講座。

講師:白井さゆり先生(慶応義塾大学教授・前日本銀行政策委員会審議委員)

タイトル:金融政策と経済物価情勢

  • 日銀政策委員会審議委員を5年間:審議委員は取締役にあたる。フルタイム。総裁・副総裁3人の執行部の監視。フルタイム。白川総裁2年・黒田総裁3年。2013年からは大変は実験。円安・株高。世界の大注目を浴びた。白井はマイナス金利には反対した。
  • 海外・ブルバーグテレビ出演。外国の情報。15の中央銀行で講演。テレビ東京のモーニングサテライト(5時45分から)。5年間休みは一日もない。論文を読む、執筆なども含めモーレツに勉強した。英語で世界で戦える人は少ない。イエレン(米FRB)、ドラギ(欧州中銀)、カーニー(イングランド銀行)など自分の言葉でしゃべる人たち。
  • 2016年の世界経済は3.1%成長。2017年はもっとよくなる。米・欧・資源国(50ドル)、日本も1-1.3%成長。インフレ的な状況になる。長期金利が上昇する。リスクはアメリカのトランプ政権。もう一つは現在の好景気は景気循環かも知れないこと。
  • 金融政策の転換期。金融緩和をやったがリーマン前よりは悪院。金融政策に依存。アメリカは利上げ開始・引き締め。19ヶ国のユーロ圏のECD(欧州中銀)のドラギ総裁は周辺国の危機を乗り切り功績あり。金利低下が長く続き効果がなくなってきた。副作用。もう限界。
  • 日本:白川総裁は2%物価目標。黒田総裁QQEという次元の異なる金融政策で国債を買いまくった。年50兆円、2014年には年80兆円に拡大。国際は安全資産。他の金利も追随する。ETFによる株式購入。日銀には350兆円が積み上がりリスクもある。2016年1月のマイナス金利では銀行に影響がでている。仲介が難しくなっている。タンス預金が増えて経済の循環が阻害。日銀はすさまじい規模でやれることは全部やった。副作用はあるが、効果もあった。この政策はやるべきものだった。しかし物価目標2%は達成できていない。今は0%に近い。
  • 日本経済:家計支出は増えていない。住宅着工は横ばい。鉱工業生産は下がっている。輸出数量は増えない。円安で業績向上で株価は上昇。家計では雇用はいいが賃金は上昇しない。これだけやってきたが結果は横ばい。なぜか?日銀に依存しすぎている。110円・1.9万円といういい状態は続かない。金利は上昇していく。
  • (始まる前に、白井先生と雑談。バイタリティあふれる勉強家。)

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 「副学長日誌・志塾の風」170601

・水谷IR室長

・杉田学部長

・渡辺先生

・授業準備(学部・大学院)と自己点検資料の読み込み。

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夜は品川の「翁」で富田勲先生の一周忌の集まり。

大吟醸JAL広報部グループ。富田先生の奥様と娘の妹尾さんも参加。秩父のこいけ蕎麦の小池さんも参加。

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 故・富田勲先生の奥様と娘の妹尾さん。

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  「名言との対話」6月1日。原阿佐緒「生きながら針にぬかれし蝶のごと悶えつつなほ飛ばむとそする 」

原 阿佐緒(はら あさお、女性、1888年6月1日 - 1969年2月21日)は、明治-大正時代の歌人である。歌集に「涙痕(るいこん)」「白木槿(しろむくげ)」など。

与謝野(よさの)晶子にみとめられて新詩社にはいり,「スバル」などに歌を発表。「アララギ」に参加したが、同門の石原純との恋愛事件で破門された。

宮城県大和町宮床に生れたみちのくの抒情歌人、漂白の女流歌人原阿佐緒記念館は雪景色の中にひっそりとたたずんでいる。類希な美貌と短歌や絵画の才能が阿佐緒に数奇な運命を招きよせる。東北帝大教授石原純とのスキャンダルで世論の攻撃を浴びる阿佐緒は地元でも批難の的となる。

記念館では阿佐緒の遺した二冊の日記をテーマとした「蝶の日記」という企画展が記念館の二階で行われていた。阿佐緒は「これにはことさらにかかぬ、心乱れゐたる故ただにとりとめもなく筆にまかせてかく」と日記を書く心境を記している。

記念館に掲げてある歌が実にいい。よき理解者であった与謝野晶子ばりの官能的で抒情豊かな歌が心に残る。 

 くろかみも このもろちちも うつしみの ひとはもはやふれざるならむ

 捨つといふ すさまじきことするまへに 毒を盛れかし 君思ふ子に

才能があり、美貌の持ち主でもあった原阿佐緒は、そのために恋愛問題を引き起こしている。2度の結婚・離婚を経て、「アララギ」の重鎮の歌人でもあり、著名な物理学者で東北帝大教授の妻子ある石原純の一方的な求愛に翻弄される。冒頭の歌は飛ぼうとしても、様々のしがらみや世間の目からなかなか逃れられない女の身の悶えを詠んでい手心を打たれる。