文部科学省の学校法人運営調査。夜は「元祖・THE CLUB」の集まり。

 「副学長日誌・志塾の風」170713

本日は、文部科学省の学校法人運営調査。19年ぶり。事務局の課長たちが熱心に準備した資料。丸一日。

午前:委員から管理運営についての質問を受ける。多摩大側は理事長、学長、副学長、事務局長、法人の部長。

午後:教学関係の質問。こちらは私がトップ。両学部の学部長、事務局長、法人の部長。理事長。質問にそれぞれ分担して答えていく。

関係者の皆さん、ありがとうございました。

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先日お世話になった沖縄の川合アユムさんが趙先生の招きで見えていたのでご挨拶。ベーシック・インカムがまた話題に。

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夜は神保町の学士会館の「紅楼夢」で、「元祖・THE CLUB」の集まり。有力企業(NTT・JR東・ソニー・日経・ニッポン放送東京ガス小学館サントリー・JAL、、)の広報・宣伝課長の勉強会から始まった会。もう30年近くになるビジネスの戦友たちだ。組織人として完全に現役なのは、小学館の相賀社長とJR東日本の小がた副会長、ニッポン放送プロジェクト社長の宮本さんと私くらいか。

大坂総料理長、時田料理長ともご挨拶。今回は、渡辺さんの下野市のファームでとれたズッキーニを食材にした料理を堪能。

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私からは、「偉人の命日366名言集」の話題を提供。関心を持ってもらった。

 以下、飛び交ったキーワード。勉強になる。

 渡辺さん:食の案内人。エビハラファーム。多品種少量生産。料理人と生産者をつなぐ。むらかみ農園。IBMのシュフ・ワトソン。

今北さん:フランスのマクロン大統領。20代で国家元首の視覚ありと言われた男。歴史観あり。ENAのネットワークでは抜群、パワフル、カリスマという評判。メルケルマクロンのMM連合がEUを再建。メルケルはコール首相のときに初入閣。ミッテランとコールの再現。フランスはスタートアップ大国を目指す。フランスの復活。パリ、フランクフルト、そしてアイルランドのダブリン(英語)が注目。日本とEUのEPAでは鉄道も妥結。

 

「名言との対話」7月13日。青木繁。「われは丹精によって男子たらん」

青木 繁(あおき しげる1882年明治15年)7月13日 - 1911年明治44年3月25日)は日本洋画家

青木繁の作品に好意的であった夏目漱石は「青木君の絵を久し振りに見ました。あの人は天才と思ひます」と友人あての書簡の中で書いている。そしてその翌年に「青木繁画集」が刊行された。青木は死後に評価を高めた。漱石の小説の中には、絵画に関する箇所がよく出てくる。「草枕」ではオフィーリア、「それから」には青木繁の「わだつみのいらこの宮」、「行人」では丸山応挙の作品、「三四郎」では「マーメイド」、」「坊ちゃん」ではターナー、「虞美人草」にもあり、漱石の小説に奥行きを与えている。青木繁坂本繁二郎には高い評価を下しており、特に青木繁には天才という賛辞を漱石は贈っている。

2011年に「没後100年 青木繁展 よみがえる神話と芸術」をブリジストン美術館でみた。青木の傑作「海の幸」をみた。荒削りの迫力にある絵には強いメッセージを受けた。老人、若人などが10人ほどおり、大きなサメを背負う人や棒でかつぐ人などが夕陽の落ちる波打ち際の浜辺で歩く姿が描かれている。一人だけ画面を向いている白い顔があり、これは恋人の福田たねであるという説がある。神話的な世界と見る人をつなぐ不思議な目であった。

放浪の果てに28才でこの世を去る青木繁。同世代の友人で87才の生涯を送った坂本繁二郎は、「流れ星のような生涯だった」と言い、蒲原有明は「比類のない伝説のようだ」と青木の生涯を総括している。二人を教えた国語教師は「青木は天才、坂本は鈍才。彼は華やか、是は地味。青木は馬で坂本は牛。青木は天に住み、坂本は地に棲む。彼は浮き是は沈む。青木は放逸不羈、坂本は沈潜自重。青木は早熟、坂本は晩成。、、、」。こういた比較で青木の天才が浮かび上がる。同時代を生きた友人、そして後に掘り起こしてくれた郷里の具眼の士、そういった人たちによって青木繁は100年以上もの間、生き続けてきたのである。

若い頃、青木は何に一生を賭けるかと思案する。学者、政治、軍人、、、。哲学、宗教、文学、、、そして最後に芸術にたどり着く。「われは丹青の技によって、歴山帝(アレクサンダー大王)若しくはそれ以上の高傑な偉大な真実な、そして情操を偽らざる天真流露、玉の如き男子となり得るのだ」。

「海の幸」という神業のような作品を思い出すと、心をこめて丁寧にという意味の青木繁の「丹精」という言葉に納得する。日々の毎日、そしてその集積である人生という作品も丹精という言葉をかみしめてつくりあげたいものである。