佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」:異次元の高齢社会のミクロの姿とマクロの姿。

佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」(小学館)を読了。

  90万部を超えるベストセラー本。

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

 

2017年5月の時点で日本の65歳以上の人口は3400万人、80歳以上の人口は1000万人を超えた。100歳以上は7万人である。異次元の高齢社会に突入したのである。

これからは、90歳が普通になる時代だ。この本の読者はたぶん、高齢者だろう。今後は、先日105歳で亡くなった日野原重明先生や佐藤愛子のような超高齢者がスターになる時代を迎えることになるだろう。佐藤愛子が2015年に「女性セブン」に連載したエッセイの集合体がこの本である。当時は92歳。大正12年生まれだから今年中に94歳になるはずだ。

さて、佐藤愛子は昔は「身の上相談」と言っていた新聞の「人生相談」の愛読者である。時代とそこで生きる人の人生が垣間見えて、回答者の価値観、人生の軌跡がうかがわれて興味深いからという。この本の話題は、高齢者となった自身の経験と新聞の「人生相談」から見える世相への怒りが中心だ。長生きして、居直った、歯に衣着せぬ舌鋒が読者の共感を呼んでいる。

「ああ、長生きすることは、全く面倒くさいことだ。耳だけじゃない。眼も悪い。始終、涙が滲み出て目尻目頭のジクジクが止まらない。膝からは時々力が脱けてよろめく。脳みそも減ってきた。そのうち歯も抜けるだろう。なのに私はまだ生きている」

「本を読めば涙が出てメガネが曇る。テレビをつければよく聞こえない。庭を眺めると雑草が伸びてていて、草取りをしなければと思っても、それをすると腰が痛くなってマッサージの名手に来てもらわなければならなくなるので、ただ眺めては仕方なくムッとしているのです。そうしてだんだん、気が滅入ってきて、ご飯を食べるのも面倒くさくなり、たまに娘や孫が顔を出してもしゃべる気がなくなり、ウツウツとして「老人性ウツ病」というのはこれだな、と思いながら、ムッと坐っているのでした」

このような状況の中で、「女性セブン」での隔週連載が始まってみると、錆びていた脳細胞が働き始め、老人性ウツ病から抜け出たのである。人間は「のんびりしよう」と考えてはダメだというのが佐藤愛子の悟りである。

以下、佐藤愛子語録。

・愛と恋は違う。愛は積み重ねて昇華して行くものだけれど、恋は燃え上がってやがては灰になってしまうものだ。

・もう「進歩」はこの辺で」いい。更に文明を進歩させる必要はない。進歩が必要としたら、それが人間の精神力である。

・「一生意思を曲げない覚悟」ではなく、長い年月の間にやがて来るかもしれない失意の事態に対する「覚悟」である。

ミクロで見るとこの本が述べているのが異次元の高齢化の中身だが、マクロで見ると違った姿が見える。現在医療は40兆円、予防10兆円、介護10兆円で、計60兆円規模だ。2025年(?)には、医療60兆円、予防20兆円、介護20兆円、計100兆円になるという予測だ。マクロでもミクロでも大変な時代になる。

 

「副学長日誌・志塾の風」170722

九段

・グランドパレスホテルで立岡さんと面談:自閉症。ソーシャルビジネス。学生起業。

 

九段サテライトでインターゼミ。

・杉田学部長:打ち合わせ

・水盛先生・バートル先生:中国関係の学会「日本日中関係学会」「霞山会」、、。モンゴル出張。

・松井先生(目黒高校):幼稚園、中学との連携。

・荻野先生:オリンピックボランティア

・追分さん:大学院OB会のリレー講座

  • 以下、箱根合宿へ向けてグループ作業。AI班はモロッコから学会主張中の久保田先生がスカイプで登場!

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 「名言との対話」7月22日。浜口庫之助「流行歌は作るものではなく生まれてくるもの」

浜口 庫之助(はまぐち くらのすけ、1917年7月22日 - 1990年12月2日)は、日本の作曲家。

「ハマクラ」と呼ばれたこの人の作曲した歌で、私の耳に残っている歌を以下あげてみよう。それぞれのメロディを口ずさむと、自分が生きた時代の思い出が甦ってくる。

僕は泣いちっち(歌:守屋浩)(1959年)。涙くんさよなら(歌:坂本九ジャニーズ和田弘とマヒナスターズジョニー・ティロットソンの競作)(1965年)。愛して愛して愛しちゃったのよ(歌:田代美代子和田弘とマヒナスターズ)(1965年)。星娘(歌:西郷輝彦)(1965年)。星のフラメンコ(歌:西郷輝彦)(1966年)。バラが咲いた(歌:マイク真木)(1966年)。夕陽が泣いている(歌:ザ・スパイダース)(1966年)。風が泣いている(歌:ザ・スパイダース)(1967年)。夜霧よ今夜も有難う(歌:石原裕次郎(1967年)、吉田拓郎(1977年))。粋な別れ(歌:石原裕次郎)(1967年)。エンピツが一本(歌:坂本九)(1967年)。空に太陽がある限り(歌:にしきのあきら)(1971年)。恋の町札幌(歌:石原裕次郎(1972年)、石原裕次郎川中美幸(1995年)、里見浩太朗熊田胡々(2012年))、、、。

とらえどころのない時代の心にヒットした歌が流行する。歌というものは長く生き続けるとつくづく思う。作曲家という職業は時代を生きる人々の心を描き出し、生きる勇気を与える神聖な仕事だ。