『寺島文庫通信』2018春号。vol60。

『寺島文庫通信』2018春号。vol60。

・アナログの書物・文献からの情報とデジタルで刻々と入ってくる情報の相関の中で、執筆に向かう仕組み。

・「脳力」はたえざるフィールドワークと文献研究の相関の中でスパークする。

・知的三角測量。民族と宗教。中華民族ロシア正教。全体知。6万冊。

・『食べる通信』(食のつくり手を特集した情報誌と、彼らが収穫した食べものがセットで定期的に届く“食べもの付き情報誌”。37地域)

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「名言との対話(平成命日編)」4月22日。斎藤英四郎「明るさを求めて暗さを見ず。今日失敗しても明日に明るさを求める。人の欠点より長所を見る。その方が人生楽しいじゃないですか」

斎藤 英四郎(さいとう えいしろう、1911年11月22日 - 2002年4月22日)は、日本の実業家。新日本製鐵新日鉄、現・新日鐵住金)の元社長。経済団体連合会経団連)第6代会長。

主に営業を担当してきた斎藤英四郎は豪放磊落な明るい性格だったが、新日鉄社長時代の第一次石油ショック後、業界全体が構造不況に陥る中で合理化案を提示している。組合にも必死の思いで理解を求め、全社一丸となって再起に挑んだ心中を「「苦しい時の楽こそ本当の楽である」と観念し、これを求め続けることを心に誓った」と語っている。そして「いいときばかりは続かないよ。悪くなることを想定した対策を、良い時にしっかり考えておかねばならない」と経営の指針とした。

JAL広報部時代、「エアライン経営のトレンド情報誌」月刊currentsという航空界識者を読者対象とした雑誌を創刊し編集長をつとめたことがある。この時、論客・日下公人らとともに、新日鉄の斎藤英四郎にも登場してもらったことがある。

2020年の東京オリンピック組織委員会は元総理の森義朗会長であるが、代々財界の大物がつとめてきた。東京五輪は安川第五郎 九州経済連合会会長、札幌五輪植村甲午郎経団連会長、そして長野五輪斎藤栄四郎 経団連会長だった。

斎藤は山﨑豊子の小説『大地の子』のモデルとなった上海宝山鋼鉄誕生に際して新日鉄が支援したのだが、当時の稲山嘉寛社長の理解で取材が行われた。 その折りにの後を継いだ新日鉄の斎藤英四郎会長は、中国進出は「戦中の罪滅ぼし」と考えていたのだが、山﨑は斎藤の失礼な態度と、木で鼻をくくったような答えに激怒し、「私を、そこらの作家と一緒にしないでください! もう結構です!」と憤然と席を立った。そのことを山﨑豊子が書いて、よく知られるようになってしまった。

斎藤英四郎は生来のネアカな性格に加えて、明るさを持ち続けようと意識して人格を創りあげたのである。仕事が人をつくり、地位が人をつくる。