山口図書館の企画展示「時代に影響を与えた本」に、拙著『図解・世界の名著がわかる本』(三笠書房)。

山口図書館の企画展示「時代に影響を与えた本」に選ばれている。

「図書館には、時代や国境などを越えてさまざまな知識や情報を得ることができる本が多くあります。いつの時代にも人々に影響を与えた本が存在しました。本は時代を映す鏡といってもいいのかもしれません。今回の展示では、そんな世界や時代に影響を与えた様々な本について知ることのできる資料をご紹介します」。

http://library.pref.yamaguchi.lg.jp/news/20180501/jidainieikyou

『図解世界の名著がわかる本』

 久恒/啓一‖著,三笠書房,2007.6,[当館請求記号:028/N 7]

図解 世界の名著がわかる本―『聖書』『君主論』から『孫子』まで、西洋、東洋の名著が早わかり!図解でわかる! 難解な世界の名著のなかみ (中経の文庫)

 『科学の本一〇〇冊』村上/陽一郎‖著。『図説世界を変えた書物』竺/覚暁‖著。『近代日本の百冊を選ぶ』伊東/光晴‖[ほか]選。『ベストセラーの世界史』フレデリック・ルヴィロワ‖著。『世界を変えた10冊の本』池上/彰‖著。『世界を変えた100冊の本』マーティン・セイモア=スミス‖著。、、、、など18冊の中の1冊。

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 「名言との対話(平成命日編)」5月1日。戸川幸夫「犬にも人間と同じように心があるんだよ」

 戸川 幸夫(とがわ ゆきお、1912年4月15日 - 2004年5月1日)は、日本小説家児童文学作家

旧制山形高校に進むが、中退する。東京日日新聞(いまの毎日新聞)社会部記者となり、サン写真新聞取材部長、東京日日新聞社会部長、毎日新聞社会部副部長、毎日グラフ編集次長となる。この間、長谷川伸に師事して文学を学び、42歳で「高安犬物語」にて直木賞を受賞。43歳で作家生活に入り、動物に関する深い観察と広範な知識を元にして「動物文学」というジャンルを確立し、国民の支持を得た。

年譜を繰ってみると、晩年に到るまでの間断のない膨大な仕事に圧倒される。53歳、西表島を二度訪問し新種を発見し、イリオモテヤマネコと命名される。54歳の時の新聞・雑誌等への寄稿などを並べてみよう。「野生への旅V」、「ゴリラ記」、「乃木と東郷」、「謀議」、「三里番屋」、「象」、日本テレビすばらしい世界旅行」の原作執筆のため東アフリカ取材旅行、「からすの王様」、「世界名犬物語」、写真展「動物のアフリカ」開催。、、、、。著書は200冊に迫る量があり、「戸川幸夫動物文学全集」も冬樹社、主婦と生活社講談社の3つのシリーズがあり、動物文学のニーズが高いことがわかる。

「見る、見られる」ことに敏感であること。、ことに、人に、「見られている」ことを常に意識することです。そういう動物的な緊張を忘れなければ、人間はボケないし、輝きを失わないものなんです

日本犬復活運動を展開した斎藤弘吉日本動物愛護協会初代理事長は、渋谷の秋田犬ハチ公に惚れ込み資料を収集し、朝日の記者が「主人の帰りを待つ老犬ものがたり」として報道した。一番びっくりしたのが渋谷駅の駅長以下駅員だった。このハチ公と戸川は交流があったと戸川の自伝的小説『猛犬 忠犬 ただの犬』にある。この本を読みながら、中野孝次『ハラスのいた日々』という愛犬との日々を書いた傑作を思い出した。犬にも感情、意志、知識、思いやり、情など精神作用としての「心」は確かにある。私も少年時代、そして最近までチョコラという名の犬を飼っていたから、動物文学というカテゴリーがあることに納得する。誰もなし得なかった新世界を切り拓いたのが戸川幸夫だった。

猛犬 忠犬 ただの犬 (講談社文芸文庫)