リレー講座:岡崎守恭「政治の底流を読む」

高橋さん:知研

学長:松本先生と一緒に「大いなる多摩学会」について説明。

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 リレー講座:岡崎守恭(歴史エッセイスト。元日経新聞常務執行役員)の「政治の底流を読む」。

学長による紹介:北京、政治部長、大阪、名古屋。中曽根と金丸の「履歴書」。博覧強記。文化人としての厚みが心を動かす。

講義:10年たって荒涼とした風景が広がる。55年体制への回帰。自民党(保守)、立憲民主党(リベラル左派。旧社会党)、国民民主党(リベラル右派。旧民社党。補完勢力)。55年体制との差異は若者の保守化(63%が自民支持。小泉政権までは30%)。U字型(40代・50代の自民支持が低い)。男は安倍支持。安倍政権が日常風景に。憲法改正が悲願というのは見せかけ。九条への自衛隊の書き込みでは何も変わらない。2019年4-5月に発議か、2019年11月に発議か。公明党は「下駄の雪」化(09年衆院選805万票、10年763万票、12年711万票、14年731万票、17年697万票)。安倍晋三政権は今日で2384日、吉田茂2616日(2019年2月23日)、伊藤博文2720日(6月7日)、佐藤栄作2798日(8月24日)、桂太郎2886日(11月20日)。2021年9月30日に安部は3567日に。消費税は2019年10月に10%(骨太の方針「実現する必要がある」。安部にやってもらった方が、、)総裁選は竹下派が「ウチも安部」と言えば終わり(細田派94人、麻生派59人、竹下派55人、岸田派46人、二階派44人、石破派20人)。首相動静の見方(地方行脚)。2018年(第一回投票は地方票405、議員票405。決戦投票は地方票47、議員票405)。安部は北朝鮮さまさま。三選したらレームダックになる。中曽根は行革をやったことで総理になった。仕事はしなければならない。石破や野田は何をしたか。

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理事長との報告・意見交換:杉田学部長と。人事。ゼミ。

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「名言との対話」7月5日。土居健郎「被害者意識は現代の時代精神である」

 土居 健郎(どい たけお、1920年3月17日 - 2009年7月5日)は、日本の精神科医精神分析家

著書『「甘え」の構造』は日本人の精神構造を解き明かした代表的な日本人論として有名であり、海外でも、英語ドイツ語フランス語イタリア語中国語韓国語インドネシア語タイ語で翻訳が出版されている。

1971年に刊行され100万部を超えるベストセラーとなった名著『「甘え」の構造』では、「甘えの世界」で日本社会には甘えという一本の糸が貫いていること、「甘えの論理」では甘えの心理構造と日本の精神文化との関係、「甘えの病理」では甘えの病的な変容、「甘えと現代社会」では種々の問題を甘えの観点から論評した。

土居は他者への依存である「甘え」をキーワードとして日本人の特性を分析した。依存を拒否されるとすねる、ひがむなどの屈折した態度をとる日本人の精神構造の基底には甘えがあると指摘した。この概念は社会学文化人類学にも影響を与え、今では「甘え」は学術用語になっている。

大学生時代には評判になったこの書を紐解いたことがある。1967年刊の「日本社会は親分・子分のタテの関係を持つ場が重要だ」とする中根千枝『タテ社会の人間関係』、1970年刊の「日本人は水と安全はただと考えている」とするイザヤ・ベンダサン日本人とユダヤ人』などの日本人論と並んでこの本を読んだ。外国には「甘え」に相当する言葉はないという記述に驚いたことがある。

土居が『甘えの構造』を書いて30数年後に書いた「甘え今昔」では、家庭をめぐる犯罪の急増は家庭が不安定になったことが原因であるとし、いじめによる子どもの自殺が増えているのは、家庭が逃げ場では無くなってきたからだとしている。

内側は遠慮がない身内の世界、中間体は遠慮が働く人間関係、外側は遠慮を働かす必要のない世界。面白いことに内側と外側は無遠慮で共通している。甘えが濃厚な場合でも、必要がない場合でも日本人は無遠慮となるのである。

アメリカ留学中の体験、ルース・ベネディクト菊と刀』、大佛次郎『帰郷』、さまざまな現場観察、森田学説の「とらわれ」論、中村元の日本人の思惟方法、天皇制と家族制度のしめつけからの解放、フロイドの人間中心主義、丸山眞男の被害者意識論、全学連運動と全共闘運動の観察、、、、、、。自分自身の眼と耳で日本人の日本人たる所以を明らかにしたい、患者の話を医者が使うドイツ語でなく日本語で記載し日本語で考えよう、このような決心をもって体験し観察していく。土居は、甘えの概念は患者心理の理解に有用であること、それは非常に豊富な鉱脈であることを確信するにいたるのである。その長い仮説の検証で得た結論が『「甘え」の構造』に結実したのだ。そしてその後も、さまざまの分野からの批判に真摯に応えいく中で、「甘え」理論は鍛えられていく。独自の視点と独自の現場、自分の眼と耳による独自の長い観察が、独自の理論を導くことを土居健郎のこの書は教えてくれる。 

「甘え」の構造 [増補普及版]

「甘え」の構造 [増補普及版]