柯 隆「中国が強国になる条件---習金平政権の政策課題と新たな日中関係」。

19時:丸の内の日本興業倶楽部で文庫リレー塾。講師は東京財団の柯 隆 (カリュウ)氏。テーマは「中国が強国になる条件---習金平政権の政策課題と新たな日中関係」。

寺島塾長「南京生まれ。名古屋大に留学。長銀総研。富士通総研東京財団。愛国のじ情と客観的視点。刮目すべき人物」

柯 隆氏の講演。

・アジアの地政学リスク:独裁(北朝鮮)と自由(米日韓)はトレードオフ。中間にロシアと中国。毛沢東社会主義の実験で失敗(2000-7000万人を殺害)。トウ小平は資本主義の実験で失敗(分配と腐敗)。習金平世代は文革(1966-1976年)世代。統制的。レーニン主義市場経済(統制された市場経済)。

中国経済:高度成長の終了。新常態(ニューノーマル)。公共投資は一巡・加除設備投資があり拡大しない。格差拡大・少子高齢化の猛スピード・無介護保険で消費は伸び悩み(老人4・夫婦2・子供1)。

電子商取引フィンテック(電子金融)が発展。デビットカードのデジタル化がフィンテック。高付加価値へのシフトができていない。企業は基礎研究をやらない。ブランド力のある会社がない。中所得国のワナに陥る可能性。

・改革開放から40年。中国はテクノロジーを盗んだ。テクノロジーは真面目にやても追いつくのに50年はかかる。サイエンスのキャッチアップは100年かかる。

・格差の解消と社会の安定ができるか? 1:納税意識が薄い。所得把握が難しく直接税が取りにくい。税体系に問題あり。金持ちは脱税して蓄積し不動産を買う(固定資産税がない)。相続税がない。金持ち天国。ゆがみ。2:資本主義に必要な「信用」が確立していない。文革中国文明という信じるものが失われた。政府も信用しない。コンプライアンス意識のない企業。家族を信用できない密告。これらをクリヤーできるか?

・弱いのはソフトパワー(文化力)。経済は大きいが技術に弱く不十分。軍事力:この1000年戦争で一度も勝ったことがない。軍幹部の腐敗のすさまじさ(多い人は1000億円超)。軍事予算は軍事力の強化に直結していない。若者の戦う力は弱い。文化力の強化には100-200年かかる。日本は明治維新150年。中国は道徳、マナーが悪い。自由がなければ文化は花開かない。40歳以下の若者は日本人と同じ文化環境(オスカー映画、アダルトビデオのあおいそらが一番有名)。20-30年経って彼らが指導部に入ると変わる。

・米中貿易戦争:3700億ドルの黒字。過去20年改革は進まない。米国の外圧は改革の追い風になるかも。中国は8月の長老会議を経て9月にメニューとタイムテーブルを提示。米国は9月の中間選挙前に妥協か。うまくいかなければ「通貨戦争」。国債売却アナウンスで株の暴落も。日本は中国だけでなく分散も。

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・10時:学部運営委員会:離学の議論。

・10時40分:教授会

・12時50分:学長室の渡辺さん:今週の戦略会議のブリーフィング。

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・13時:通信教育の企画でお二人がみえる。片山さんと四條さん。今後が楽しみだ。

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・16時:世田谷文学館「ビーマイベイビー 信藤三雄 レトロスペクティブ」展。

・17時半:三菱一号館美術館「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展。

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「名言との対話」7月24日。森毅「ゆっくりわかるのも、一種の才能」

森 毅(もり つよし、1928年1月10日 - 2010年7月24日[1])は、日本の数学者評論家エッセイスト

自他共に許す非国民少年で、迫害のかぎりを受けた不良優等生であった森は、数学を専門とする。名物京大教授として、歌舞伎、三味線宝塚、文学・哲学についても造詣が深かった。専門の数学や教育にとどまらず社会や文化に至るまで広い範囲で評論活動を行って、人気があった。

「ヤジウマでデシャバリでオッチョコチョイ」と自称する森毅の言葉を拾ってみよう。

「書いているうちに、内容はできてくるものである」。内容がなくても注文を引き受ける。デシャバリだ。

「いつでも、なにかを新しくやろうとしているほうがよい」。新規な珍しいものが好きで好奇心が旺盛なオッチョコチョイだ。

「集団にいると「安心」はできるが「安全」ではない」。まったりした安全圏は嫌いなヤジウマ精神の持ち主だ。

「  年配者に好かれるコツは、要するに砂糖と塩の加減の問題やねん。「生意気の芸には愛嬌のスパイス、愛嬌の芸には生意気のスパイス、、。」

「先が決まっていないから不安と思うか、先が決まっていないから気楽と思うか、暗いよりは明るい方がいいではないか」と主張する楽観的な人・森毅森毅は「これほど業績がない人物を教授にしてよいのか」と問題になったが、「こういう人物がひとりくらい教授であっても良い」ということで昇格を果たしている。年配者に好かれたゆえであろう。それは人間に対する深い洞察力を持ったこの人の処世術だったと思う。

「一を聞いて十を知る」という言葉があるが、本当にそれでいいのか。うわすべりの理解でわかった気になることは危険だ。世の中は複雑であり、一歩、一歩、足元を確かめながら登っていくと、本当のことがわかる。「頭の回転が速い」鋭い才能もあるが、鈍いようにみえるが、じっくりと時間をかけてわかっていく行き方もある。森毅の言うように、それも一種の才能である。 

まちがったっていいじゃないか (ちくま文庫)

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