久下貴史 第18回個展「心はずむニューヨーク」展---猫画家の描く猫的世界

久下貴史 第18回個展「心はずむニューヨーク」展。

この企画展は「ニューヨークの猫画家」と言われる久下貴史が、文具の銀座伊東屋で18年連続で開催されている絵画展だ。猫好きの女性ファンに応えて「マンハッタナー」というブランドで、久下の作品がプリントされたバッグ、財布、傘、などが売られており、自由が丘には専門ショップ「Art Farm」まである。

1948年生まれ。1982年、「週刊朝日」の「山藤章二の似顔絵塾」の第一回大賞を受賞。1986年に「絵が描ける所だ」とニューヨークに移住。1992年に猫を描くことに目覚める。猫画家として猫的世界の作品を多数描く。2001年から作品発表の場を日本に移す。現在はューヨークを深く描くこと、日本の伝統画材を用いて猫を描くことに注力している。久下の猫のいる風景は、温かく、ユーモアがあり、優しい感じがする。

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動物写真家のの岩合光昭の作品展覧会が頻繁に開催されたり、テレビでの映像作品が流れたりする日本は、猫ファンが多い。その猫的世界の表現者の一人が久下だ。世界の都市で猫を描き、墨や顔彩などの日本の画材を用いて手漉き和紙に猫の表情を描く「新和シリーズ」も手がけている。久下の猫的世界はグローバルでかつローカルに進化している。一つのテーマを時間をかけて追いかけると、新しい世界が開けてくる。

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猫たちとニューヨーク散歩: 久下貴史作品集2

猫たちとニューヨーク散歩: 久下貴史作品集2

 

 

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・新宿の「るぶらん」で出版プロダクションと企画の進行打ち合わせ。

・力丸君と居酒屋で今後の相談。

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「名言とmの対話」8月28日。ミヒャエル・エンデ「時間こそが人生そのものなのです。そしてそれは心の中にあります。時間を節約しようとするほど生活はやせ細ってしまうのです」

ミヒャエル・エンデ(Michael Ende, 1929年11月12日 - 1995年8月28日)は、ドイツ児童文学作家

1961年日本語訳『ジム・ボタンの機関車大旅行』)がドイツ児童文学賞。1973年「Momo」完成。翌年再びドイツ児童文学賞を受賞。1977年初来日。エンデは書物を通じて東洋に関心があり、豊かな好奇心で日本を観察した。1986年、日本国際児童図書評議会が催した世界大会の基調講演者再来日。瀬戸内海の島、桜満開の丸亀城、京都で仏教学者・上田閑照らとの討論、、、。この年『はてしない物語』の翻訳者佐藤真理子と再婚。長野県の黒姫高原信濃町立の黒姫童話館ではエンデに関わる資料が収集されている。

世界で翻訳されている名作『モモ』。浮浪児モモは相手に自分自身を取り戻させる能力、宇宙の音楽と星星の声に耳を傾ける能力を持っている。「灰色の男たち」は「よい暮らし」のためにせかせかと生きる病に冒されているのだが、「時間の国」でモモは時間の豊かさを知る。人間はひとりひとりが金色の時間の殿堂を持っていることを知ったモモは時間泥棒に奪われた時間を解放する。こういう物語だ。この物語は過去のできごとのように設定されているが、現在と将来の姿でもある、ここに読者は惹かれるのだ。

・人生でいちばん危険ななことは、叶えられるはずのない夢が、叶えられてしまうことなんだよ。

・いちどに全部のことを考えてはいかん。わかるかな?つぎの一歩のことだけつぎの一息のことだけを考えるんだ。いつもつぎのことだけをな。するとたのしくなってくるこれがだいじなんだな。たのしければ仕事がうまくはかどる。こういうふうにならにゃだめなんだ。

『モモ』の中の「時間泥棒」である「灰色の世界の男たち」の行動に、近代人はみな自分を見る。時間を節約し、効率を至上命題として、仕事に励む、その姿は自分そのものだ。「光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのと同じに、人間には時間を感じとるために心というものがある。もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないも同じだ」。時間は人生そのものであり、時間を節約しようとすれば生活がやせ細る。それは貴重な時間で構成されている人生自体が無意味なものになるということだろう。頭で時間を考えるのではなく、心で時間を感じるとる生活を送ろう。

 

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))