ポッドキャスト新企画。昭島市役所。リレー講座「グローバルヒストリーへの展開」。

11時:「こえラボ」の岡田社長来訪。ポッドキャストで毎日配信している私の「名言との対話」は3500人が聴いている。新しい企画を相談。

12時:水嶋教務課長

13時:昭島市役所の方々が来訪。12月17日の「昭島サミット」の打ち合わせ。私はコーディネーター役。

14時:学長への報告

14時50分:リレー講座。寺島学長「グローバルヒストリーへの展開」

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 1997年から5年間の連載のテーマは「20世紀とは何か」。「1900年への旅」は2冊の文庫本。

2002年からの8年間のテーマは「戦後日本」。「戦後に恩と問いかけとしての日米同盟」は2010年に単行本。

2010年からの10年間のテーマは「近現代を問う」。「17世紀オランダからの視界」は2020年に上下2巻の単行本に。立体世界認識への試み。

連載49回「ビッグヒストリーにおける人類史」:宇宙史、地球史、生命史、人類史、、。生命科学の急速な進化で「ヒトとは何か」。ヒトとチンパンジーのDNAは1.06%の差。言語と意思疎通に関わる能力。生きる意味の問いかけや歴史意識。10世代前(250年前)から2046人の血、20世代前(500万年前)からは209万人の血。純粋日本人などいない。

連載50回「グローバルヒストリーへの入口を探って」:人類は1万年前に狩猟社会から定住革命(農耕)へ。人と一緒に生きる。社会、コミュニティ、我慢。5000年前にメソポタミアでシュメール文化、人類最古のシュメール文字の誕生。

連載51回「アイスマンの衝撃」:1991年に5300年前の瞬間冷凍人間。157C、50k、45歳、O型、豊な食生活、タトゥー(ツボ)、胆石、殺された、、、。5000年前は日本の縄文時代

連載52回「人類史における宗教の淵源」:アニミズムフェティシズム多神教一神教という進化論のエドワード・タイラー「宗教進化論」は間違い。現代にもディズニーキャラクター、環境主義などのアニミズム、神セブン・ブランドへのこだわりなどのフェティシズムは存在、多様なものに価値があるという日本の多神教など。『神は人間がつくった』では、20万年前ホモサピエンス誕生、10万年前に内省的能力、省察力を身に着ける、6万年前に出アフリカ、4万年前に自伝的記憶能力を獲得し歴史意識を持つ。1万年前に定住革命、7千年前までに宗教の淵源である「神」が誕生。愛、利他愛。芥川竜之介「回心」、「さまよえる猶太人」。

「ジェロントロジー宣言」:国道16号線上のベッドタウン。工業生産力モデル。都市郊外型高齢化。食と農との接点がない。宗教がない。死生観がない高齢者。どう生きるか、どう死ぬか。

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「名言との対話」12月6日。辰濃和男「この世を救う妙薬、こころを柔らかくする妙薬があるとすれば、その筆頭は歩くことだ」

辰濃 和男(たつの かずお、1930年1月1日 - 2017年12月6日)は、朝日新聞記者出身のジャーナリスト、エッセイスト

1975年から198年まで45歳から58歳まで朝日新聞の「天声人語」を担当。1994年朝日カルチャーセンター社長。また、日本エッセイスト・クラブ理事長も務めた

辰濃和男には『文章の書き方』(岩波新書)などの名著があり、私ももちろん読んでいる。今回は70歳で書いた『歩けば、風の色』を読んだ。志を持って仕事をしている全国の人々を紹介した本である。辰濃は人と言葉の収集家だ。「人の土台作りに参加している責任」「海や太陽に恥ずかしい生き方をしたくない」「私の通った後を前より少しだけきれいにできたらいいなと思う」「必ず一定の数を残すのが原則だった」「踊っている最中、ずうっと海とか山とか、大自然のイメージをもつ」「大切なのは、親が子どもになることだ」「百年後、二百年後」「大切なのは「まじめ作なんだ」「下塗りがいのちだ」「老人は何か一つ、夢中になれるものを持ったほうがいい」「音の詩を創ってゆきたい」、、、。紹介されているナチュラリストたちの名言の宝庫だ。

白樺、水楢、朴(ほお)、蔓蟻通(つるありどおし)、鋸草、靭草、山母子、峰薄雪草、科木(しなのき)、蝦夷紫陽花、藪椿、椎、隠れ蓑、白山木、武蔵鐙、常盤木、神籬(ひもろぎ)、木五部子(きぶし)、菫(すみれ)、七竈(ななかまど)、岳樺(だけかんば)小峰楓、裏白樫、栃、楓、羊歯、竜胆(りんどう)、岩桔梗、蝦夷金梅草、鬼胡桃、赤四手、山杜鵑草(やまほととぎす)、曼殊沙華、富士薊(ふじあざみ)、針樅。卯木、花筏、木通(あけび)、西洋踊り子草、、、、。本の中で何気なく紹介している花や木々の漢字の名前には感動する。こういうことを知っているというのは何と豊かだろうか。

圏央道は、高尾の山を巨大な太い槍で貫く」という言葉には心を揺さぶられた。高尾山を貫く圏央道への反対運動は知っていたが、辰濃も関わっていたのである。私はゴルフに行くときなどに高尾山の腹に刺さった太い槍の中を車で走るという恩恵を受けているのだ。この本を読んでやや心苦しく思った。

歩くことによって、 自然の細部にほどこされた造花の神の営みに驚くこころをよみがえらせることができる。硬くなったこころを柔らかくするために、速足で歩くのではなく、余裕をもって、自然を楽しみながら歩きたい。 

歩けば、風の色―風と遊び風に学ぶ〈2〉