「月刊高校教育」に拙著「偉人の誕生日366名言集」の素晴らしい「書評」。

「月刊高校教育」(教育改革・学校改革の羅針盤)2月号の「今月の書評」に拙著『偉人の誕生日366名言集』が取り上げられた。筆者は元東京都立高校副校長の都築功さん。よくまとまった論考で感心した。ありがたいことだ。http://www.gakuji.co.jp/magazine/highschool/index.html

名言集や格言集の類はこれまでにも多数出版されているが、今回この書物を紹介するのは、著者の久恒啓一氏が2005年から訪ね歩いた800館を超える全国各地にある人物記念館から直接取材した珠玉の言葉と、それを通したそれぞれの人物の生き様や背景を基にしているからである。

著者は現在多摩大学の副学長だが、大学人となる前の日本航空勤務の時代から「知的生産の技術」研究会で図解コミュニケーションの理論と技術を開発してきた。2004年から毎日ブログを書き続けているが、記念館で出会った珠玉の言葉を誕生日や命日に合わせて紹介している。この本はそれを誕生日別に紹介したものである。人選についっては生存中の人は除き、近代・現代の偉人を中心としている。適当な人が見つからない場合は時代をさかのぼり、外国人も取り上げている。「偉人」というタイトルがついているが、実に多彩で、様々な人々が取り上げられている。

構成としては、一日1-3ページで誕生日にあたる人物の言葉をタイトルとして掲げ、その人の生涯や、タイトルに取り上げられなかった言葉を紹介している。一日一日の記述がよくまとめられており、示唆に富み、味わい深い。

この本の読み方、使い方としてまず思いつくのは、講話の題材だろう。その日が誕生日の人物を話の出だしで取り上げる。年明けなど高山樗牛の「己の立てるところを深く掘れ そこには必ず泉あらむ」(1月10日)などどうだろう。

机上や引き出しの中に置いておいて、折に触れて開いてみるのもよいだろう。ちょっちした時間に拾い読みするにも適当な長さで、仕事上のヒントを与えられたりもする。例えば1月26日のアサヒビール中興の祖、樋口廣太郎「悩みがないのは仕事をしていない証拠だ」の後には、「仕事十訓」「管理職十訓」が書かれている。

また「たとえ明日、世界が滅びようとも、私は今日、リンゴの木を植える」といったよく知られている言葉も、11月10日生まれのマルティン・ルターのところを読めば背景などもよく分かる。

ところで最近、「人生100年時代」のかけ声が急に大きくなった。この本にも人生100年時代の生き方のモデルとして勇気をくれる人物が何人か取り上げられている。例えば、10月4日生まれの105歳まで生きられた医師、日野原重明氏の言葉「しかし、人間は生き方を変えることができる」など。著者にはさらに、90歳を超えてなお元気で世の中に発信し続けた有名人の言葉を集めた「100年人生の生き方・死に方」(さくら舎)もある。やや前になるが40代以降に仕事を始め開花した人々の生きたかをまとめた「遅咲き人伝」(PHP研究所)には高校の副校長の時、大いに励まされ、東京都の副校長会に講師として招き感動を共有したことがある。

著者のブログの題名は、著者の出身地の大分県中津の偉人、福沢諭吉の「今日も生涯の一日なり」である。日々、目の前の業務をこなすことに追われる中でも、生涯の一日に思いをはせながら生きたいものである。

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今日の収穫。柳井正時代感覚日経新聞1月13日)。

「情報産業とサービス業だけになる」「店舗でしか買えない商品・サービスを提供」「働き方もデジタルに」「本庶先生の6C=キュリオシティ(好奇心)・カレッジ(勇気)・チャレンジ(挑戦)・コンフィデンス(自信)・コンティニュー(継続)・コンセントレーション(集中)」「「日本人は自分で考えない」「日本は成長どころか崩壊しないことが大事」「買収でなく自分でやるから面白い」「将来に対する希望がない」

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大学にて

・杉田学部長:明後日の最終講義

・今泉先生:大学院修士論文講座の4月の日程

・水嶋課長:大学コンソーシアム八王子

・川手課長:書棚

・森島課長:センター入試

研究室

・別府の後藤さんとZOOMで対話。佐保君に手伝ってもらう。

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「名言との対話」1月15日。青山五郎「常識的な考えに染まらない。社員が働いている時には遊ばない。いつも社員と一緒に仕事をする。それが私の信条だ」

青山 五郎(あおやま ごろう、1930年3月4日 - 2008年1月15日)は、日本の実業家。『洋服の青山』の名称で知られる紳士服チェーン大手、青山商事の創業者。

男6人、女1人の7人きょうだいで、上から5番目の男子だったので、五郎という名前になった。病気で学校に行けなかったことで優秀な兄たちに負けたくないと、「30歳になって、世間から信用されるようになったら、商売で一旗揚げるしかない」と誓う。34歳専売局を辞め兄弟4人で1964年に創業し、「日本一の洋服屋になろう」と決意する。オーダーメイドが一般的だった時代に大量生産制やチェーン店制度を導入。創業5年で売上高1億円を突破。20年で売上高100億円企業に成長させた。1991年には868億円の売上高をあげ紳士服専門店の頂点に立った。

イカーで買い物できるロードサイドに店舗を展開してきたが、ブル経済がはじけ、都心の不動産価格は下落し、賃借料を押し下げたので、「東京銀座店」をオープンさせる。日本一地価が高い場所で、日本一安いスーツを売る。郊外から都心へ向かう戦略だ。1993年3月期、売上高は一気に1,500億円を超え、300億円強の経常利益をあげる。

青山によれば、流通業は店長産業であり、どれだけ優秀な店長を育てることができるかが、成長・発展のカギである。その土地の人の気質、文化、歴史を知ることで出発する。小売り価格は店長が決める。店長が率先販売。気配り・気力・笑顔。店長が粗利益を決める。

1993年発刊の『非常識の発想』では、10年後、2003年には総売り上げを1兆円にする構想を語っている。さて、どうなったか。2018年3月期には連結で2548億円、単体で1888億円で国内3位である。2位のしまむらは2倍、1位のファーストリテイリングは7倍以上で差がついた。五郎が戦っていたオンワードは5位、そしてワールドとはちょぼちょぼ、AOKIは7位だ。

「21世紀に入っての日本の家計消費構造の変化」という表を見ると、200年から2108年で消費支出は月3358円の減っている。その内訳をみると「衣食住」の「衣」関連は2175円の「洋服」など月5314円で率にすると大幅な37.7%の減少だ。こういった消費構造の中で、ユニクロファーストリテイリングが一人気を吐き突出しているのは偉容である。1972年に柳井正が入し1984年社長になったファーストリテイリングは、製造と小売りを一体化したビジネスモデルでこの間に大躍進を遂げている。「紳士服の青山」の成長速度が遅いように見えるが、この環境下ではよく健闘しているともいえる。

「大衆とともに商売をすること」と「いつも社員と一緒に仕事をすること」を信条としており、経済界とは付き合わない、ゴルフもしない、自家用車をもたないなど、最前線で旗を振った。「蟻の一穴」を見逃さない働きぶりだった。「ただ生まれて死んでいくのを拒否」した青山五郎は、「喜寿を迎えた今、よくやったなとも思う。けれど満足はしない。未完だからこそ、人と企業は成長する。体が動く間は、仕事をやり続けるつもりだ。頑固たれだ」と決意を語っている」が、翌年逝去。生涯現役だった。

  1. 非常識の発想 (講談社ビジネス)

    非常識の発想 (講談社ビジネス)