憶良らも旅人も梅花の宴より「令和」と決むとは夢思ふまじーー日経新聞「万葉歌の世界」の広告に母の短歌。

25日の日本経済新聞社の広告欄に母・久恒啓子『万葉歌の世界』。その広告の冒頭に、「令和」を題材とした母の短歌が出ている。

 憶良らも旅人も梅花の宴より「令和」と決むとは夢思ふまじ

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ジム:ストレッチ。ウオーキング45分(内10分は5度の傾斜)。筋トレ。ストレッチ。スイミング300m。バス。その後。首都大のレストランで食事。

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「名言との対話」5月26日。津本陽「年齢をかぞえる前に、わが意欲を思え」

津本 陽(つもと よう、1929年昭和4年)3月23日 - 2018年平成30年)5月26日)は、日本小説家

東北大学法学部卒。49歳、故郷和歌山の捕鯨漁民を描いた『深重の海』で直木賞。 剣道抜刀道五段の心得を生かした迫真の剣豪小説から、しだいに歴史小説に重点を移していく。信長をテーマとした日経新聞の連載小説『下天は夢か』の単行本は、1989年も60歳のときに発刊され200万部を超える大ベストセラーになった。小説を書く上で重要なのは「自分自身の体験である」という言葉は、剣豪小説を読むとわかる。

津本陽は以下の人物とその時代を描いた。塚原卜伝柳生兵庫助千葉周作などの剣豪。秀吉、家康、信玄、謙信、政宗、利家などの戦国大名。海舟、西郷、龍馬などの幕末の英雄。始皇帝則天武后など中国の傑物。

事実とは往々にして「事実らしからぬ」ほどのドラマ性を持っているから、できるだけ事実をそのまま描き出すことだとし、膨大な資料を読み込み、小説に生かした。

2003年、74歳で書いた 『老いは生のさなかにあり』というエッセイを読んだ。鈍物を自認する家康(75歳)は経験を知恵にできる洞察力があり、大器晩成の生涯を送った。親鸞は63歳から膨大な著述を始め、75歳で『教行信証』を著すなど90歳まで続けた。毛利元就(75歳)は襲ってくる事象に対して的確に対処していくリアリストだった。北条早雲(88歳)は常に前途に希望を抱き、60歳直前という晩年に大運をつかむ。勝海舟(75歳)というマキャベリストは、時代の先を読み幕藩体制を一新し、旧幕勢力を糾合し、慶喜を補佐した生涯を送った。

彼らの晩年に花が咲いた人物の特徴は、しぶとい、晩年に最高の知恵が身につく、障害を乗り越え新境地をひらく勇気がある、冷静に自分を見る目を持つ、などだという。そして「生きているあいだ、どのように行動するかを考えている人は、おおむね死を怖れない」。宇宙のなにももかの意思によって与えられた「定命」(じょうみょう)を生き切るだけだ、と津本陽は語っている。

「年齢を重ねるとともに行動の知恵をふかめてゆき、なお高度な段階に至り、大きな収穫を得るために心を砕くのが、すぐれた人物にそなわった器量である」。老境に至ってなお、盛運のいきおいを増してゆく、老いてはじめて知恵のかがやきを発した人物が、歴史のうえに数多く名をなしているのである。それが「老境力」である。年齢をかぞえる前に、意欲をわが思え。わが志を思え。

 老いは生のさなかにあり (幻冬舎文庫)

老いは生のさなかにあり (幻冬舎文庫)