「日本は、政治家が5パーセント、政治屋が10パーセント、政治業者が85パーセント」

橘川さんから話があり、去年大学院に紹介した(株)ドゥ・ハウスの留学生対象の「マーケティング戦略・入門」が6月から始まった。「フィールドスタディ」で単位認定がある。私の授業の受講生に紹介しておいた。

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午後:ジムで2時間。ストレッチ、ウオーキング30分、筋トレ、ストレッチ、バス。

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「名言との対話」6月7日。岡野加穂留「日本は、政治家が5パーセント、政治屋が10パーセント、政治業者が85パーセント」

岡野 加穂留(おかの かおる、1929年6月22日 - 2006年6月7日 )は、政治学者

学生時代は明大ラグビー北島忠治監督(政経学部教授)に師事し、「人生の目的というボールを持ったらゴールに向かってまっすぐに」という信念を教わった。1965年、明治大学政治経済学部教授。1985年、明治大学ラグビー部長。1992年、明治大学学長。英語ドイツ語フランス語スウェーデン語に堪能。

日本におけるデモクラシー研究の第一人者だった。岡野は「臨床政治学」を標榜し、臨床政治学会を創設し初代理事長に就いた。それは現場の政治を客観的に観察し、現代デモクラシーという基準によってその状態を評価するというものである。病理の根拠を政治制度の歪みに求め、制度の成熟度を国民知的水準としてみなす。 政治家の質は、国民の質(民度)の反映という考え方だ。そして政治の生態を実証をとおして明らかにしていこうとした。野党とも付き合いがあるが、自民党との縁が深い。しかし政治的中立を生涯保った。

明治大学学長就任に際し、古い明治大学の体質を一新すべく、お茶の水のリバティータワーの建設決定を行なっている。古い体質からの脱却という意味で自由を意味する名前をつけた。明治大学駿河台キャンパスの中心施設で、地上23階、地下3階、高さ約120m、延べ床面積約59000平方メートルの象徴的ビルだ。地下1階から16階までが文系学部生用フロア、19階から22階が教室、研究所、事務室などが入るフロア、その他に食堂や体育館、地下駐車場を併せ持つ複合施設で8000人以上の在室定員である。私はこのビルで図書館関係者への講師をしたことがある。また、地下にある阿久悠記念館を訪問したこともある。

政治家では明治出身の三木武夫を尊敬していた。私学は明治だけがまともであると主張する「明治ナショナリストとしても有名だった。『若者と語る』という本がある。後藤田正治村山富市と岡野の共著である。政治家、政治学者に明治大学の学部生や大学院生がインタビューするオーラルヒストリーで、新入生むけの本である。若者からの質問で岡野自身の知られていないことも引き出されている。

「日本の戦後政治史に登場する政治家たちというのは本当の意味で政治指導者と呼びえる政治家(Statesman)が全体のわずか5パーセント程度で、いわゆる政治屋(Politician)が10パーセント、自己の利益のみにうつつを抜かしている政治業者(Political Wheeler Dealer)が、残りのおよそ85パーセントというのが実態だと思います」

政治家と政治屋という分け方は知っていたが、政治業者とはよくいったものだ。音楽家というように「家」がつく場合は、高い識見があるということだ。「政治屋」は私利私欲に走りがちな人だ。そして政治業者とはカネと権力を中心に自分の利益のみを追求する輩である。政治屋にも相当しない人が大半というのが臨床政治学の研究者・岡野加穂留の見立てである。建設業などと同様に、政治業という職業があり、彼らは業者だ。それを岡野はディーラーと呼んだ。取引業者である。トランプ米大統領の本質は「ディール」といわれるから、彼もディーラーとみることもできる。この政治業という職業にはうまみがあるから世襲が多くなる。近年言われる政治の劣化、政治家の劣化とは、日本国民の民度の反映でもある。政治業者とみたら現在の惨状がわかりやすい。高い志を持って、天職として政治を行ってほしいものだ。