第50回大宅壮一ノンフィクション賞に安田峰俊『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』。

文芸春秋』7月号。

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  • 第50回大宅壮一ノンフィクション賞安田峰俊『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が選ばれている。この人は最近まで多摩大の非常勤をお願いしていた方だ。『和僑』『野心 郭台酩伝』などの力作を読んで力量のほどは知っている。おめでとうございます! 以下、選評。梯久美子「ページをめくる手が止まらない作品だった」。後藤正治「フットワークのよさと中国取材の蓄積が伝わってきて、視線と思考はやわらない」。佐藤優「さまざまな角度からの取材を積み重ねて書かれた力作だ」。森健「問いの立て方、聞き方、人物の描き方。問題意識だけでなく、対象への熱量も高い。取材に同行しているような実感のある表現力の高さも秀逸だった」。出口治明「力作である」。早速読もう。
  • グレッグ・ケリー「西川廣人さんに日産社長の資格はない」。「私は完全に無罪だと申し上げます。独房に入れられている時は、「なぜ私は西川さんと同じ場所にいないのだろうか」と思いました。
  • 玉城デニー「沖縄はすべての基地に反対ではない」。「沖縄の米軍基地問題が問うているおは、果たして日本は主権国家なのか、民主主義国家なのか、ということです」
  • 塩野七生「レオナルド没後五百年」。夏目漱石「死ぬか生きるか、命のやりとりをするような維新の志士の如き烈しい精神で文学をやてみたい」。レオナルド「うまく使った一日の後には快い眠りが訪れるのに似て、うまく使った一生の後には安らかな死が訪れる」。
  • 原田まは「松方コレクション 超入門」。国立西洋美術館開館60周年記念「松方コレクション展」(本日6月11日から)の手引き。

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・ヨガ

・永山

・地研:22日の日経に『平成時代の366名言集』の広告。副題は「歴史に残したい 人生が豊かになる一日一言」。「命日編」「誕生日編」に続く第3弾!。

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「名言との対話」6月11日。王馬 煕純 「食事は、家族の健康はもちろん、家庭の団欒と幸福を象徴する場」

王馬 煕純1920年9月1日ーー2018年6月11日)は、料理研究家

1941年、東京芸術大学卒業。結婚の後に、料理の研究を始める。NHKきょうの料理」創世記から、日本初の本格的中国料理研究家として活躍した。この番組は1957年より60年以上にわたって放送されている料理番組である。王馬 煕純おいしくてからだにやさしい料理を紹介し続けて、テレビ、ラジオなどで活躍した。女子栄養大学講師。厚生年金会館料理教室講師。日本における四川料理の父といわれた陳健民と並ぶ偉大な料理研究家である。

以下、著作。「電子レンジでつくる中国料理」、「お料理しましょう」、「中国料理」。「中国料理入門」、「王馬煕純の中国家庭料理」、「中国料理おすすめ百菜」、「王馬煕純の家庭料理」、「中国料理の基礎」、など多数。

その著書に対するアマゾンの書評をみると、ファンの言葉が並んでいる。

「王馬 煕純先生は相当な研究熱心で、舌のこえた方なのでは。一つ一つが的確な味です。麻婆豆腐や家常豆腐は、本場のエッセンスをいかした日本では他の本には載ってないであろうレシピです」

「王馬 煕純さんは 昔 よく NHK今日の料理に出ていました。 美しくて上品な方でした。 基礎といえば 簡単なものかと思うかも知れませんが これは 難しい材料 たとえば 干しなまこ等の扱い方も書いてあります。 これ1冊で簡単なものから 手の込んだ料理まで作れます。 とても役にたちました」

柴田書店の専門書のこの本の特徴は、何万種類あるといわれる中国料理の中から、日本の家庭でも簡単においしく作れるものを、180種選び、大半を調理法別に、残りを点心(軽食・デザート)と常備菜に、それぞれ実際につかいやすいように構成してあることです」

「緒言に1995年初秋となっていますが、今でも色あせない味と盛り付け、特に使用されている色絵の陶磁と料理の調和や、素材の切り方の美しさには感銘を受け、サイト検索にて、王馬熙純女史が“中国東北地方の貴族生まれ”とあるのを読み、首肯した図説です。日本との関わりは、17歳から上野音楽学校(現 東京芸術大学)器楽科ピアノ専攻入学及び同校卒業から始まることも、印象深いものでした」

私が手にした『NHKきょうの料理』では、精神論は一切なく、食生活の面から便利なようにまとめてある。魚、豚肉、牛肉、鶏、卵、野菜、豆腐、、、と材料別に構成してある。また利用しやすいように、索引が充実している。調理法別索引では、いためもの、揚げmの、あんかけ、煮もの、あえもの・よせもの・むしもの。常備菜、前もって作れる料理、すぐ作れる料理。条件に応じた献立のために。四季に供するのに適した料理。以上、実際の料理に役立つ工夫にあふれている。「日本ほどあらゆる国のおいしい料理が家庭で作られている国はありあません」とも「はじめに」にある。細心の注意を払う料理研究家である著者の人柄がにじみ出た、かゆいところまで手がとどいている配慮が生き届いた本だ。健康と団欒と幸福をもたらすのが料理であることを改めて感じた。

NHK中国風きょうの料理

NHK中国風きょうの料理