『江藤淳ーー終わる平成から昭和の保守を問う』

江藤淳ーー終わる平成から昭和の保守を問う』(河出書房新社)を読了。 

2019年5月発刊。神奈川近代文学館で買った本。論争家。批評家。講演の名手。占領史研究。

1956年に刊行された批評家・江藤淳の第一作『夏目漱石』は生活人としての漱石という新しい漱石像を提示した。代表作は『漱石とその時代』であった。第5部まで書かれた。しかし、不思議なことに、江藤の自死によって、このライフワークは未完に終わっている。

江藤淳: 終わる平成から昭和の保守を問う

江藤淳: 終わる平成から昭和の保守を問う

 

・完全原稿:完璧な原稿を編集者に渡すことが誇りだった。(福田和也

漱石の次には谷崎潤一郎を書くと決めていた。

・意図的な自死は人間の(最後の)表現活動なのだ(西部邁

漱石はあまりに著者である江藤淳に似ていたのだ(高橋源一郎

「創造性があるとか、ないとか、そのようなことは問題ではない。ぼくは創造せねばならないのだ」(高校3年生の時の書きつけ)

「死ぬときにはどうしたら一番効果的かを考え、それには「憂国」を演じるのがいちばんだと思ったのではないか。練りに練った末の三島自作自演の一幕ではないか。そういう気持ちをどうしても拭えないのです。」

「みんなを「敵」としておいて、そのどの敵とも時と場合に応じて「正心誠意」合従を企てる。それが海舟のよって立つフィロソフィーであった。」(江藤淳『海舟余波』)

「どんなに出来の悪くて、やる気のない生徒であっても、教員が本気で取り組んでいるかは、驚くほど敏感に感じる、だからこそ、われわれ教員は、常に本気で生徒に接しなければならない。」(慶應SFCの教え子)

アメリカ人は何でパーティなんてやるんだろう、寂しいからだなと思ったんです」(上野千鶴子との対談)

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・ヨガ教室:1時間

・原稿書き

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「名言との対話」7月9日。西川清「どんなことに対しても「何で?」と思わなければだめだ」

西川 清(にしかわ きよし、1938年6月7日2005年7月9日)は日本の実業家。

自伝『「社長」になりたい君へ』を読んだ。大学卒業後、将来は社長になろうと考え、一番資本金の少ない企業へ入る。営業マン時代に得た心得は以下だ。相手の本心を見抜く。キーパーソンを探り出す。年配者は健康状態をほめると喜ぶ。売る商品に惚れこむ。「私のミスです」という誤り方が重要。、、、、。

9年間つとめた後に駐車禁止の看板を製造販売するニシカワ商会を起業する。無人駐車管理のパークロックという商品と出会い「パーク24」を創業。業界ナンバーワンを落とすという戦略で、病院をターゲットに成功し、時間貸し駐車場というシステムで街に張り出していく。小さな敷地に小さな駐車場をつくることで地主にも売り上げの一部が入る仕組みはよろこばれた。7坪で年間140万の売り上げがあるのだ。その結果、路上駐車が激減し事故が減った。駐車禁止の看板事業「停めさせないビジネス」から始めたのだが、結果は「停めさせるビジネス」への転換で成功する。

「タイムス24」という「時間」をテーマとしたビジネスでは、駐車料金は「1時間300円」より「100円で20分」となる。顧客心理を上手につかむのは、営業マン時代に得た手腕だろう。社長になってから、個人的には、遊ぶために仕事をする、贅沢な旅行を心がける。自分に恥じない行動をするなどを方針としている。

『「社長」になりたい君へ』が刊行された1999年現在で年商200憶円に飛躍した。西川は2005年に67歳で亡くなっているのだが、2019年4月現在では、この会社は資本金198億円、グループ連結従業員5465人、売上約3000億円、営業利益220億円の企業へと躍進している。

この本では「アメニティ・パーキング」というコンセプトで、西川は次のように事業展開の方向を語っている。豪華な女子用トイレと託児所のあるサービス。駐車場付きのマンションや戸建て。電気自動車の製造。充電サービスのある駐車場。銀行や飲食店のある駐車場。サテライト型パーキング。ナビゲーションサービス。駐車場の予約サービス。個人地主対象のタイムズ・オーナーズ・クラブ。駐車場問題の解決のための自動車メーカーとの資本提携。首都圏の地下駐車場の運営。遊休地利用の提案。、、、。

最近「パーク24」の看板をよく見かけるようになったことは知っているし、ときどきパークロックの駐車場にとめることもあるし、教え子の転職先がこの企業で業績がいいという話も聞いていたが、ここまでの事業となっているとは知らなかった。

「何で?」から始まったビジネス人生で、最後は永遠に続くように「会社のシステムを残したい」という西川清の夢は実現したようだ。世の中を注意深くみまわしていれば、必ずマーケットが要求している商品があるという西川の確信には起業家を目指す人は励まさられるだろう。

「社長」になりたい君へ―起業家を志す人への応援歌

「社長」になりたい君へ―起業家を志す人への応援歌