「小松左京展」ーー「SFとは希望である」。映画「日本沈没」(2006年)。

世田谷文学館で始まった「小松左京展」をみて、購入した書籍を読んだ。

 小松 左京(こまつ さきょう、1931年昭和6年)1月28日 - 2011年平成23年)7月26日)。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災まで見届けたことになる。

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SF魂 (新潮新書)

SF魂 (新潮新書)

 

・ 漫画星雲の手塚治虫星系の近くにSF惑星が発見され、星新一宇宙船船長が偵察、矢野徹教官が柴野拓美教官とともに入植者を養成、光瀬龍パイロットが着陸、福島正美技師が測量して青写真を作成、いちはやく小松左京ブルドーザーが整地して、そこに眉村卓貨物列が資材を運び、石川喬司新聞発刊、半村良酒場開店、筒井康隆スポーツカーが走り、豊田有恒デパートが進出、平井和正教会が誕生、野田昌宏航空業開業、、、、。(石川喬司が日本SF界の草成期メンバーを評した)。小松左京はブルドーザーだった。筒井康隆は、自分にとって親分、先輩、教師だったと述懐している。

・SFを専門にえらんだ時、私は同時に「人間の歴史を、地球史、自然史の一部として見る」という視点を選んでいた。

・SFとは思考実験である。SFとはホラ話である。SFとは文明論である。SFとは哲学である。SFとは歴史である。SFとは落語である。SFとは歌舞伎である。SFとは音楽である。SFとは怪談である。SFとは芸術である。SFとは地図である。SFとhがフィールドノートである、、、、。いや、この歳になった今なら、やはりこう言っておこう。SFとは文学の中の文学である。そして、SFとは希望であるーーーーと。

 

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やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記 (新潮文庫)

やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記 (新潮文庫)

 
 
 

大阪万博のプロデューサーだった小松左京の述懐「大阪万博奮闘記」。

梅棹忠夫について、小松は眼光紙背に徹する人だったという。万博側との関係は「婚約はしないが交際はする」という名言を吐いたそうだ。

加藤秀俊「梅棹さんは先々まで見通して手を打つ人だった。洞察力があるといえば聞こえはいいが、要するにたいへんんな「悪党」であった」。

1966年未来学研究会。1968年日本未来学会創設。

 

本日の夜、DVDで2006年7月15日公開された映画「日本沈没」みた。

 主演は、草彅剛。首相は石坂浩二柴咲コウ豊川悦司、、。

原作では「ほぼ完全」に日本は沈没してしまったが、本作では部分的には水没するものの、最終的には日本沈没とはならない。ハッピーエンドになってしまっている。

小松左京は戦争中「一億玉砕」と政府や軍部も国民も言っていたが、それなら日本がなくなるという設定にしたら、日本人はどうするのか、それを書こうとしたのだ。日本人とは、日本文化とは、民族とは、国家とは何かを考える機会にしようとしたのだ。9年かかったこの小説は1973年刊行で、4か月で200万部売れた。2006年には「谷甲州らによるプロジェクトで「日本沈没 第二部」が刊行されている。同じ年にこの映画ができている。

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ジム:ストレッチ、ウオーキング30分、バス。

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「名言との対話」10月26日。岡崎久彦「戦略が良ければ、戦術の失敗は挽回できますが、戦略が悪いと戦術的に成功すればするほど傷が深くなります」

岡崎 久彦(おかざき ひさひこ、1930年昭和5年)4月8日 - 2014年平成26年)10月26日)は、日本の元外交官評論家

東大法学部在学中に外交官試験に合格し、外務省入省。ケンブリッジ大学経済学部卒業。外務省情報調査局長、在サウジ・アラビア大使。在タイ大使などを歴任。作家、外交評論家として活躍した。祖父の岡崎邦輔は陸奥宗光の従弟にあたる。岡崎の大作『陸奥宗光』も書くべき作品だったのだろう。

 1977年、長坂覚ペンネームで著した『隣の国で考えたこと』で日本エッセイストクラブ賞受賞。 1981年、『国家と情報』でサントリー学芸賞を受賞。第11回正論大賞受賞。『戦略的思考とは何か』(中央公論社中公新書〉、1983年、改版2019年)『情報・戦略論ノート』(PHP研究所1984年/PHP文庫、1988年)。外交論の論客であった。

話題になった岡崎久彦『戦略的思考とは何か』を読んで目が開かれたことがある。国家戦略の欠如を憂えた著者は、歴史と地政学を入り口に日本の戦略的環境を解明、その歩むべき道を示した。情報の役割を重視し、冷静かつ現実的な分析に徹した国家戦略論の名著だ。 日本という国は20世紀の前半20年の英国、後半のアメリカと、アングロサクソンとの同盟で栄えた国だ。その路線からはずれたときに悲劇が起こる。だからアングロサクソンとの協調で行くべきだという結論だった。

読みかけの岡崎久彦の『繁栄と衰退と』は、「オランダ史に日本が見える」が副題だ。17世紀オランダの経済的反映と嫉妬した英国との関係が描かれている。17世紀オランダという貿易立国の歴史は現在の日本への教訓に満ちている。私は寺島実郎「17世紀オランダ論」と並走しているから、この本はじっくりと読んでおくべきだ。

 韓国との関係については、「日本人の側から考える場合、何よりも大事なのは、韓国の歴史、人種、言語、政治、経済、社会について、真に偏見のない、曇りのない眼で見るよう努力することでありましょう」(『隣の国で考えたこと』)と語っている。

良質の情報と正確な情勢判断は、戦略的思考の基礎だ。国も組織もその盛衰は個々の戦術よりも大きな戦略が重要だ大戦略は哲学からでてくる。哲学、戦略、戦術、戦闘という段階をふまえておこう。

繁栄と衰退と―オランダ史に日本が見える (文春文庫)

繁栄と衰退と―オランダ史に日本が見える (文春文庫)