眉村卓「一日ひとつ短い話を書くことにしてん」

抜けていた11月3日の分の眉村卓の本を読了し、以下の様に書き終えた。

11月8日の横山隆一、11月9日の森比佐志の本は発注済み。

僕と妻の1778話 (集英社文庫)

僕と妻の1778話 (集英社文庫)

 

「名言との対話」。11月3日。眉村卓「一日ひとつ短い話を書くことにしてん」

眉村 卓(まゆむら たく、本名:村上 卓児(むらかみ たくじ)、1934年10月20日 - 2019年11月3)は、日本SF作家

 大阪大学卒、サラリーマン生活の傍ら、同人誌「宇宙塵」に参加。1961年「下級アイデアマン」で第1回SFコンテスト第2席、1963年『燃える傾斜』を刊行。1965年より作家専業となる。1979年『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞と、優秀なSF作品に贈らえる星雲賞を受賞。1987年には『夕焼けの回転木馬』で第7回日本文芸大賞を受賞し、1996年には『引き潮のとき』で2度目となる星雲賞を受賞した。サラリーマン経験をもとに、組織と個人の葛藤を作品のテーマとしてインサイダー文学論を提言した。

眉村卓の「僕と妻の1778話メモリアルセレクション52」を注文し、ようやく手に入れて読了した。

1997年に妻が進行性腫瘍となる。自宅療養となり、毎日短い話を書いて読んでもらうことにした。3枚以上、エッセイではなくお話であることとした。毎日「できたん?」と妻が言い、読んでくれて、「ええんとちゃうのん」などとの会話があり、OKとなると、その原稿をポストに投函する。そういった毎日が2002年まで1778日続く。5年に近い歳月だ。その中で52話をピックアップしたのが、この本だ。

眉村は溜まっていく原稿を100篇づつ自費出版することを思いつく、タイトルは『日課・一一3枚以上』だ。「ゲラ修正」「魔除け」「絶叫ボックス」「使わなかった手帳」「椅子を占領するオバケ」神様の素」「Qさんと協会」、、などの小話が載っている。読みながら、「ああ、この人はSF作家だったな」と感じることが多くあった。エッセイではなく、お話である。この日課によるお話は18冊分の分量になっている。

眉村卓の人生を追いながら、こういうことが自分にもできるだろうか、と自分に問いかけている自分を発見している。

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昨日:ウオーキング45分

本日:スイミング500m

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原稿書き。

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「名言との対話」11月10日。ヘルムート・シュミット「歩幅が大きすぎてはならない。しかし小さすぎてもいけない」

ヘルムート・ハインリヒ・ヴァルデマール・シュミットHelmut Heinrich Waldemar Schmidt1918年12月23日 - 2015年11月10日)は、西ドイツ政治家

ブラント首相の後任。第5代西ドイツ連邦首相(在任:1974年 - 1982年)。後任はコール首相。 西ヨーロッパ同盟、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体。ヨーロッパ評議会、ヨーロッパ経済共同体(EEC)、ヨーロッパ共同体と進んできた大プロジェクトの中心メンバーである西ドイツのかじ取りを8年にわたってとった政治家だ。

 「ドイツ人と隣人たちーー続シュミット外交回想録」(上下)を読んだ。歴史的に難しい立場に立つドイツ人が自身とEUをどうとらえているかに関心をもって読み進んだ。日本についてはG7結成時に、福田首相が一度だけ登場する。

ドイツとドイツ人に対する自己認識は以下。「ドイツ人の情動は、他国人の情動以上に隣国の恐怖の的である」「ドイツに対する恐怖心を取り除くことができれば、その度合いに応じてわれわれは成功を収めえよう」「われわれドイツ人は危険にさらされた民族であり続ける。、、、、そうではなく、われわれが興奮したり、感情が高まったりしがちで、また尊大になる傾向のためである」。ドイツ人に対する反省を踏まえた謙虚さに驚く。

EUの主要国である 隣国フランスとの協調を以下のように何度も強調している。「フランスが安心している場合にだけ、ドイツ人は自らに良き未来を望めるのだ」「ヨーロッパにおける力の均衡はフランスなしではありえない」「われわれはフランス抜きでいかなる前進もしてはならない」「ドイツとフランスの友好関係が永続し、ドイツ人とフランス人が協力してヨーロッパ共同体を前進させるときにだけ、そのときにだけ、ヨーロッパは21世紀を担う力となるのである」。フランスに対する気の遣いようにも驚く。

 イギリスについては「帝国(エンパイヤ)から連邦(コモンウェルス)への移行はいわば流れるように行われ、外国人には気がつかないこともあった」と書いているが、EUへの参加の度合いにはやや懐疑的かもしれないという印象を持った。

経済大国の統一ドイツが以上のような認識で、EUを進めていくなら、困難も克服してく可能性を信じることができる。

政治について。「何かになろうという野心ではなく、何かをなそうという野心」「政治家を満足させるのは権力の享楽というよりはむしろ自分に寄せられる信頼への喜びである」「政治家が二人だけで会談すれば、少なくとも後で相手をテレビで罵ることはできない」。

そして、シュミットは「すぐに大変革を行うと約束する政治家は信用してはならない。歩幅が大きすぎてはならない。しかし小さすぎてもいけない」と語っている。老練な政治家という印象を持った。敗戦後の地位協定の改定、経済の躍進、無借金国家経営、脱原発など、前進するドイツは、ブラント、シュミット、コール、そしてメルケルといずれも長期政権を担ったリーダーのレベルが高い。抑制的な態度で大目標に向かって歩幅を調整しながら着実に歩を進めるドイツについて改めて興味を持った。

ドイツ人と隣人たち―続シュミット外交回想録〈上〉

ドイツ人と隣人たち―続シュミット外交回想録〈上〉

 
ドイツ人と隣人たち―続シュミット外交回想録〈下〉

ドイツ人と隣人たち―続シュミット外交回想録〈下〉