横浜そごう美術館の 「樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展」

横浜そごう美術館の 「樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展」。樹木希林について感じたこと。少し斜視(60歳で網膜剥離で左目の視力を失ったからか)。俯瞰力。手紙の名人、ユーモア「、、キ、キキ」「老キリン」。CMの女王。多くの中年女性が共感をもって眺めていた。、、、

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樹木 希林(きき きりん、1943年昭和18年1月15日 - 2018年〈平成30年〉9月15日)は、日本女優日本アカデミー賞受賞は13回、直近の16年間で8回。34歳、芸名の悠木千帆をテレビのオークション番組で競売をかけ2万2千円で落札される。その後、樹木希林と改名。樹や木が集まり、希な林を作るという連想から。

樹木希林の言葉。日々、人と話し、学び、集めた「言葉」を気の赴くままにノートに記していた。樹木希林の言葉を中心に観てきた。

 ・俯瞰で見ることを覚え、どんな仕事でもこれが出来れば、生き残れる。

・俯瞰で観るクセがついているので、わりと思い違いはないんです。

・「私の芝居」のゆとりはどういうところから出ているかと言いますと、不動産をひとともっているからではないでしょうか。

・死ぬとき「お世話さまでした、とても面白かったです。納得いきました、ウフフフフ、、。

・私にとって学ぶということは絵画を観たり、何かの作品を観たりすること。

・食いっぱぐれのないように家賃収入が入る大家を始めたの。

・自分の人生はすべて必然。

・時が来たら誇りをもって脇にどけ。(母の言葉)

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何必館(かひつかん)・京都現代美術館。何ぞかならずしも。定説にとらわれず、自由な精神を持ち続ける。(梶川芳友)。「座辺師友」。

・私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。、、、だとすれば、何々になれなくれも、私たちにとって生きる意味があるのよ。(映画「あん」の中の言葉)

杉村春子「役者ってのは定年がないんですよ。ありがたい仕事じゃございませんか」(役者を始めたときに聞いた言葉)

熊谷守一「五風十雨」:五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降る。

寝室から眺める庭。

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「遊びをせんとや生まれけむ」は、平安時代の今様、流行歌を集めた「梁塵秘抄」にある。

遊びをせんとや生れけむ
戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声聞けば
わが身さへこそゆるがるれ

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夕:南大沢のカフェで、社会人大学院生(多摩大)の酒匂さんの修士論文指導の3回目の最後の面談。論文の最後の「提言」を中心にアドバイスをする。1時間。

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「名言との対話」1月11日。ジャコメッティ「ひとつの彫刻はオブジェではない。それはひとつの問いかけであり、質問であり、答えである」

 アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti、1901年10月10日 - 1966年1月11日)は、スイス彫刻家

戦後のフランスの彫刻界において最も高い評価を得た彫刻である。初期はシュルレアリスムの作家だったが、1935年ころから。余分なものをすべてそぎ落とし、本質に迫ろうとする。針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた不思議な人物彫刻は、逆に周囲の空間をすべて支配してしまう力を持っている。

ジャコメッティはフランス留学中の日本の哲学者・矢内原伊作(1918~1989)と親しくなり、何度もモデルにする。伊作は東大総長をつとめた矢内原忠雄の長男だ。矢内原はジャコメッティの狂気のような創作につきあった。激励、叱咤しながらのモデルだった。「彼の仕事は、見えるがままにぼくの顔を描くということだ。見えるがままに描く、この一見簡単なことを、しかしいったい誰が本当に試したであろうか」と述べている。「モデルに近づけば近づくほど、それだけますますモデルは後退していくことを知りながら、続けるのである。私自身とモデルとの間のへだたりはだんだん大きく、絶えず増すものであるようだ。それは終わりなき探求である」というジャコメッティの理解者だった。

ジャコメッティにとって彫刻一つ一つが問いかけであり、答えであった。答えらしきものをつくればつくるほど実際のモデルからは遠ざかる感覚がでてくる。だから彼の彫刻には完成はなかった。

私は何回か、ジャコメッティの彫刻を観ている。2010年に世田谷美術館の「スイス発−知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂・ヴィンタトゥール・コレクション」。ヴィンタトゥールはスイスの工業都市で、近代美術の90点が日本初公開となった。ピカソらが主導したキュビズム(立体主義)に改めて興味が深まった。ここでジャコメッティの彫刻の不思議な存在感に深い印象を受けている。また、2014年に日本とスイスの国交樹立150周年記念で開催された六本木の国立新美術館の「チューリッヒ美術展」でもジャコメッティの忘れることができない独特の彫刻を観ている。

彼の作品は、「人間とは何か」という問いを、みる人に先鋭的に問いかけ、考えさせる力をもっている。