「いいちこ」

橘川さんと打ち合わせ。 落合さんと打ち合わせ。

石和田さん、畑さんから一般社団法人ザ・コミュニティの説明を受ける。

 f:id:k-hisatune:20200225224933j:image

 「名言との対話」2月25日。赤松重明「いいちこ

赤松重明(あかまつしげあき 1916年4月30日ーー2001年2月25日。)は、実業家。

大分県高並村(現院内町)生まれ。龍谷大学で仏教学を学んでいたが、方向を転換し、1941年25歳で早稲田大学法学部を卒業し台湾拓殖に入社。兵役の後、帰郷し実家の赤松本家酒造の経営にあたる。1958年三和酒類株式会社を創業、1972年熊埜御堂酒造場、和田酒造場、西酒造場と合併。1979年、「いいちこ」を発売。社長、会長、名誉会長を歴任。大分県教育委員長、県議会議員、県公安委員長などの公職もつとめた。

2018年現在で宇佐に本社を置く三和酒類は、売上高445憶円、営業利益56億円、経常利益60億円、純利益42億円の企業に躍進している。社員は361名。

この会社を一躍有名にしたのは、「下町のナポレオン」こと、焼酎の「いいちこ」だ。私の故郷の九州・豊前の方言で、「いいですよ」という意味の言葉だ。この焼酎は有名なアートディレクターの河北秀也を広告展開に起用し、洒脱な広告で一躍全国区の焼酎になった。酒場でボトル一本1万円の時代もあり驚いたことがある。この会社は文芸誌「季刊iichiko」も刊行しているなど、筋のとおった広報活動を展開していて好感度が高い。平松大分県知事の「一村一品運動」の目玉となった。50年以上の歴史のある中津の文化総合誌「耶馬台」は休刊となってしまったが、「宇佐文学」は三和酒類が応援をしているとも聞いている。

赤松には語録が多い。

社内では「時間厳守」とはいわずに「アイ・ラブ・タイム」と掲示し、美化運動の標語は、「美しき人になりたく候」だ。構内の交通安全標語は「人の喜びも悲しみも知ろう・二〇キロメートル以下」である。否定的なニュアンスで人の心をしぼませない、人の人情に訴える。つくった人の人柄を思い浮かべることになるし、その意味を自分で考えることになる。こういった奥行きが深い言葉は人の心にやさしく入り込む。この点はすぐに「入場禁止!」などの張り紙を多用しようとする傾向への警鐘でもあるように思う。

語録は、個人の生き方にも及んでいる。

「老いることは嬉しい。いままで見えなかったものが見えてくるんです」。「縁ありて花開き、恩ありて実を結ぶ」(座右の銘)。

「私は六〇の時から一日も欠かさずに日記をつけていますが、夕方日記をつけるときに、きょうはこういうことをした、自分が思っていることはすべてした、よくやった、という風に思って自分に手を合わせます」

新本格焼酎「いいちこ」は2003年から2009年まで焼酎の売上は首位だった。世界30カ国でも販売している。また2009年には食品ヒット大賞ロングセラー賞も受賞している。

いいちこ」という言葉は、使っていた私には、品がなくて、いい感じがない、田舎くさい方言だった。子どもの頃は「いいちこいいちこ」などという相槌をよくうっていた。ところが公募によってこの言葉が商品名に選ばれたという。仕掛け人の河北秀也は「『いいちこ』は広告をしてきたのではない。デザインをしてきたからここまできたのだ」と語る。イメージ戦略でここまできたのだ。40年経って、「いいちこ」はとうとう標準語になったようである。