時事川柳から:「政治家の手に負えそうもない政治」「1億もいて代表がコレかいな」「政治家にタカ派ハト派とサギ派あり」

 東京新聞週刊文春、単行本で、時事川柳を愉しんだ。

東京新聞「時事川柳」「アベノマスク 待ってないけど まだ来ない」「世の中は不要不急で回ってた」

週刊文春「再開し授業嫌いもはしゃいでる」「人生を変えた授業を師は知らず」 

 ・『万能川柳・名人選 宮本佳則版』(毎日新聞)から。宮本は1951年生まれの開業医。この人の川柳はいい。職場編、生活編として、また紹介したい。

「政治家の手に負えそうもない政治」「1億もいて代表がコレかいな」「政治家にタカ派ハト派とサギ派あり」「被害者の被害広げるワイドショー」「まず怒りやがてあきらめ今笑う」。時事関係を選んだ。この本は2008年発行と10年以上前だが、日本社会は進歩なしだな。

万能川柳の選者仲畑貴志「今の小説なんかだと、50年後、100年後は、ほとんど駄目になると思いますけど、「つぶやき」は残ると思いますよ」 。

万能川柳・名人選 宮本佳則版

万能川柳・名人選 宮本佳則版

  • 作者:宮本 佳則
  • 発売日: 2008/10/03
  • メディア: 単行本
 

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連休の自粛生活:散歩。読書。全集。次の企画。喫茶。ヨガ1本。寅さん。

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「名言との対話」5月2日。外村彰「原因探しや謎解きこそが、研究の醍醐味だ」

外村 彰(とのむら あきら、1942年4月25日 - 2012年5月2日)は、日本物理学者、工学者。文化功労者

ベネッセ教育総合研究所に「10代のための「学び」考、というウェブがあり、外村がインタビューを受けている。

小学校時代に「雨の日は庭の水と雨粒がそこにつくる波紋を見たりしては、奇麗だなと思っていました」。

中・高校時代「数学や物理のように答えのはっきり出る教科が好きになっていきました」。

大学時代「大学3年生のときに習った量子力学にとても魅力を感じました。電子は粒子だと思っていたのですが、授業で「電子は波だ」と教えてもらい、「本当に電子が波ならば、その形をこの目で見たい」と考えるようになりました。少年のときに見た水溜まりの波紋のような美しさがあるのではないかと思ったのです」。

東京大学理学部物理学科を卒業後、日立製作所に入社し、中央研究所で電子顕微鏡開発に携わり、超ミクロの世界を見る特殊な電子顕微鏡の開発で世界をリードしてきた。そして電子でホログラムを作る「電子線ホログラフィー」という技術を確立した。

「電子線ホログラフィーとは、電子線を物体に当ててつくられた像をフィルム(ホログラム)に記録し、そのフィルムに光を当て三次元像をつくる技術のことです。私たちは、電子線ホログラフィーを実証できれば、性能の限界に近付いていた電子顕微鏡の可能性が広げられ、これまで見られなかったミクロの世界が観測できると考えたのです。少年のときに心を動かされた水の波紋とそっくりな電子の波が、そこにはあったのです」。それから10年以上の月日が流れ、ようやく実用段階にこぎつける。

以上が、小学校から中学、高校、大学、企業での研究者、そして量子力学の分野での画期的な成果をあげる過程についての本人の説明である。

今までにない新しいことや、だれにもできなかったようなことをしようとするとき、すぐに成功することはまずなく、必ずと言ってよいほど壁に突き当たります。、、「やっと面白くなってきたな」と思ったものです。なぜなら、その〝原因探し〟や〝謎解き〟こそが、研究の醍醐味だと思うからです。、、、努力し続ける原動力になるものは、「好奇心」だと思います」。

日経サイエンス」誌は、「外村彰 逝く」という記事を載せている。5月9〜10日、東京・新宿で最先端研究開発支援(FIRST)外村プログラムの国際シンポジウムが開かれた。すい臓がんにおかされていた外村は、「追悼の会になってもやりたい」と最後まで意欲を示していた。外村彰日立製作所フェローの古希を祝う席にもなるはずだったが、世界中の物理学者らを出迎えたのは、本人ではなく遺影だった。外村彰はノーベル物理学賞の有力候補にあげられ続けていたのだが、寿命が届かず5月2日未明に70歳で亡くなった。地震学の大森房吉、ニュートリノの戸塚洋二もそうだが、ノーベル賞の受賞は寿命との競争という面がある。

小学校時代に感銘を受けた水の波紋に好奇心を揺さぶられ、中学、高校で物理に興味を持ち、大学で量子力学に出会い、とうとう電子が波であることを突き止める。そして超ミクロの世界を見ることができる電子顕微鏡を開発した。好奇心を原動力に、謎解きの生涯を送った科学者だ。「好奇心と謎解き」は、研究の世界だけでなく、実務の世界でも重要だ。「なぜだろう」という疑問が新しい世界を拓いていく。こういう物語は、子どもたちに響き、研究職を目指す人も出てくるだろう。先人の軌跡と生涯を記した伝記は、今も尚、子どもたちの未来に向けての「志を」養ってくれる。